信長の原理.jpg信長研究、本能寺の変の真実――。歴史は勝者の歴史となりがちだが、信長、光秀と本能寺の変は、学際的研究も小説・ドラマでも語り尽くされている感がある。しかし、本書はきわめて面白い。歴史の事象、事件を追うというより、信長の内面、それを取り巻く佐久間信盛、林秀貞、柴田勝家、丹羽長秀、滝川一益、羽柴秀吉、明智光秀らの信長に対する恐怖、不安、懊悩の内面を徹底して描く。裏切る松永弾正や荒木村重の虚無・意地等の心象はド迫力で迫ってくる。武将の働き方についての「1:3:1の蟻の法則」。「武将をも所詮は虫けらとしか見ぬ信長への恐怖と絶望」「神仏を否定しても存在する森羅万象の法」「異次元の信長の思考と及ばぬ家臣の距離」‥‥‥。考えさせられること多き力作。

さて「信長」と「本能寺の変」――。「怨恨説」「野望説」「長宗我部征伐阻止、土岐氏存続説」「信長の家康殺害計画と光秀・家康同盟説」「唐入り阻止説」など、数多くの説があるが、本書では信長に追い詰められていく光秀の内面がぐいぐい描かれる。「頼りとする斎藤利三への切腹命令」「家康殺害の密命と領地替え」「長宗我部征伐」‥‥‥。「ときは今 あめが下しる 五月哉」は「下なる」との解釈同様、五月雨の情景を詠んだもので、謀反の意味はないとしているが、利三、秀満は備前の諺「一人ならば心安んじ、二人ならまだ良し。三、四人は穏やかならず。五人にては、まず洩れ落ち候」によって、「外に洩れ出ることは必定」と「決起するしかない」と腹を決める。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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