金融と社会の10年後、20年後はどうなるか。AI、フィンテック、仮想通貨、ブロックチェーン、キャッシュレス社会・・・・・・。経済・社会は激変し、伝統的金融機関である銀行、証券、保険が業務や雇用の大変革を迫られる。フィンテック企業やプラットフォーム企業が全体を覆い、金融サービスを通じて集積されたビッグデータは、新たなビジネスを生む。フィンテックが導く新しい経済の本質は、個人データ争奪戦であり、それは機能不全の危険性をもつデリケートな社会でもあり、個人にとってもデータの漏洩、操られる社会への突入でもある。
「AIに分析される私たち(「信用スコア」「スコアレンディング」で顧客データが集まり、融資も値引き特典も)」「メガバンクを脅かすフィンテック(資金調達でもクラウドファンディング、仮想通貨。地銀の苦境、フィンテック・ベンチャーの発想とメガと地銀の協力・協業)」「ITが変える保険業界(AI・IoTのリスク予測分析が進み保険料が1人1人違ってくる。伝統的保険の終わり)」「仮想通貨狂騒曲(仮想通貨の価値の裏付けは?通貨でなく投機の対象?本命は情報管理できるブロックチェーン)」「キャッシュレス覇権(スウェーデンのスマホ決済アプリ"スウィッシュ"、企業間の顧客データ争奪戦、アリペイの世界進出とMUFG等の仮想通貨計画、日本のメガバンクのQRコード構想)」「国家が発行するデジタル通貨(慎重な日本、警戒しながら他国の出方をうかがう)」「フィンテックの『影』(データ漏洩リスク、欧州で進む法整備)」――。毎日新聞経済部が現場を歩き、不確実な金融の未来、社会の激変に挑戦した意欲的な著作。