麒麟児  冲方丁著.jpg江戸城の無血開城を成し遂げた勝海舟と西郷隆盛、そして勝の下で働いた山岡鉄太郎(鉄舟)等々。大激動、大混乱のなかでいかに動いたのかを、勝海舟の側から描く。大仕事をしたが、二人とも傷を負い、去った。「生死は天が与えるものだ。・・・・・・何もかもが不条理であり、はるかに人智を越えていた」――。時に遭遇した者すべてが、歴史の激流に翻弄された。

尊王攘夷、公武合体、大政奉還、王政復古、そして江戸開城、明治維新、版籍奉還――。それぞれの思惑が交錯し、「王政復古は所詮、私利私欲に過ぎない」と勝は断定した。「何故、討幕になったのか」――。大政奉還で考えた国の形は、異なる方向へ押し流され、激派を抑え、民衆と徳川を含む藩士の生活保障を確保し、諸外国から日本を守り抜こうとした勝らの壮絶な戦いと孤独が迫ってくる。

「勝、西郷、山岡、益満といった、敵味方でありながら、ともに江戸城開城を成し遂げた者たちには、表立って口にはできないけれども、暗黙の、そして強固な絆が互いにあると山岡は信じているのだ」と書き、「西郷さんは、行き場のない士族たちのために命をくれてやったようなものだ。これほど無私の人を、おれは知らないよ」と勝は言う。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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