奇跡の経済教室戦略編.jpg長期の経済停滞から脱するための「戦略」を提示し、これまでとってきた経済政策を根本的に修正せよ、という。中野氏がこれまで思想的、経済理論的に論述してきたことを更に強く主張するとともに、最近のMMTについても解説する。当たり前のことだが、「デフレ時にはデフレ対策、インフレ時にはインフレ対策」が徹底されることがまず大事。日本はまず「財政支出を拡大して、デフレを脱却する。緊縮財政から積極財政へと転ぜよ」「ムチ型(企業利潤主導)(人件費削減)成長戦略をやめて、アメ型(賃金主導型)成長戦略へと転換せよ。賃金上昇や実体経済の需要拡大によって経済が成長するような経済構造へと改革せよ」という。平成が財政再建論、公共事業悪玉論、規制緩和の構造改革論によってデフレの悪循環に沈んだことを指摘する。

「"インフレ恐怖症"は"商品貨幣論"の間違いに起因する。MMTは『通貨の価値を保証するのは、政府の徴税権力である』と説明する。その政府の徴税権力の根源は、民主政治にある」「成長と格差縮小の為には、需要対策として大きな政府、積極財政、減税、金融緩和。供給対策としてアメ型成長戦略、規制強化、労働者保護、グローバル化の抑制が必要」「デフレ時にムチ型成長戦略をとれば、企業は利潤を貯蓄に回し、人件費を切るからトリクルダウンは起きない」「デフレ時は縮小するパイを皆で奪い合うから、レントシーキング活動(自分の利益を増やすためにルールや規制の変更を政治・行政に働きかける)が活発化しやすい。規制緩和、競争促進の"改革"が煽られる」「現在の日本経済はデフレ。デフレは需要や財政赤字の"過剰"ではなく"過少"だ」「エリートが考え方を変えられないのは"認識共同体"だからだ」「グローバル化の徹底は、民主政治とは両立しない。グローバル化の徹底のために国際条約を使って、各国の民主政治を制限することになる」「一度決まったことは元に戻したり、変更できない "経路依存性"の現象が多くある」・・・・・・。

「平成の過ちを繰り返さないために!」という「基礎知識編」の続編。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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