宇宙空間は大変なことになっている。凄まじい激しい競争になっている。この1、2年でも次々と歴史を画する打ち上げ、それも多数の民間企業の参入によって、イノベーションが次々と起こり、「人類宇宙進出へ怒濤の2020年代」が始まった。宇宙観光旅行がスタートし、宇宙ホテルも2022年開業となる。2024年には人類が再び月面着陸をめざすアルテミス計画、月の周回軌道上のステーション「ゲートウェイ」の建設や火星への有人着陸計画も動き出している。
宇宙にはいまや1万9000個もの物体があるという。衛星が約5000個、衛星を打ち上げたロケットの上段が約2000個、ミッション機器が約2000個、ゴミ破片のスペースデブリがなんと約1万個もある。宇宙交通管理が不可欠だし、安全保障の問題もある。安全保障では2007年に中国が行ったASAT(衛星破壊)実験によって状況が一転し、自国の衛星をどう守るかは、気象観測・通信・安全保障・経済全般にかかわる重大な問題となっている。米、ロ、日、ヨーロッパの宇宙開発先行組に中国、インド、そして新興国が、あらゆる可能性を探って宇宙開発新時代の幕が開いたのが今だ。
「2020年は宇宙観光元年――サブオータビル宇宙旅行から宇宙ホテル、そして商業宇宙ステーションへ(ブルー・オリジン社の商業宇宙旅行、アクシオン・スペース社の宇宙ホテル、スペースX社は月旅行、低軌道は民間に任せるというアメリカの政策)」「2024年、アメリカが再び月着陸を目指す『アルテミス計画』――月着陸のカギは国際協力で建設するゲートウェイ、オバマ時代の空白の8年間を取り戻す」「人工衛星はコンステレーションの時代(低軌道小型衛星群)へ――地球観測衛星もコンステレーションの時代」「大型ロケットも小型ロケットも群雄割拠の時代に――ロケット・ラボ社の成功とヴェクター社の失敗、空中発射式の衛星打ち上げも実現間近」「独自の路線で開発を進める宇宙新興国――急進する中国、インド」「宇宙と安全保障――衝撃与えた中国の衛星破壊実験、衛星破壊の手段、SSAからSDAへ、商業衛星のデータを偵察任務にも活用」「進む太陽系探査計画――太陽、水星、金星、月、火星、木星、土星、小惑星」――。
日本は技術も高く、ベンチャーも生まれている。激しい協力と競争の世界に目を向けなければならない。