無理ゲー社会.jpg「日本も世界もリベラル化している」「リベラルは、『自分の人生は自分で決める』、すべての人が、『自分らしく生きられる社会』をめざすべきだという価値観のことだ」――。しかし、「自由で自分らしく」といっても、それが現実には呪縛となり、「リベラル化」のベクトルが全ての問題を引き起こしている。「誰もが自由に生きられる」というリベラルの呪縛が、「夢の氾濫と挫折」「グローバル市場のなかでの富の偏在」「成功も失敗も自己責任というベクトル」「薄いネットワークの広がりと親友・家族の減少等による孤独・孤立の深刻化」「誰もが知能と努力で成功できるようにはなったが、知能格差が逆に顕わになっている現実(知能の高い"上級国民"と知能の低い"下級国民"の分断)」「モテル奴とモテナイ奴、才能のある奴とない奴の宿命的亀裂」・・・・・・。つまり、「才能ある者にとってはユートピア、それ以外にとってはディストピア」「知識社会・評判社会になっている今、"自分らしく生きる"という特権を享受できる"上級国民"と、"自分らしく生きるべきだ"という社会からの強い圧力を受けながらそうできない"下級国民"」となっているのだ。リベラルな社会の「残酷な構造」を率直に的確に剔抉する著作。

攻略がきわめて困難なゲームは「無理ゲー」と呼ばれる。リベラルなこの社会は、「『自由で自分らしく』というルールの下で、『社会的・経済的に成功し、評判と性愛を獲得する』という困難なゲーム(無理ゲー)をたった一人で攻略しなければならないという社会」だ。「無理ゲー社会」に現代人は放り出され、かつ人生の攻略難度はますます上がっている。その分析はまさに縦横無尽。

「自分らしく生きるという呪い」「『自分さがし』という新たな世界宗教(多様性が認められるようになり、マイノリティが社会に包摂されるようになるにつれて、かえってより深い分断線が引かれる)」「知能格差社会("知能+努力"のメリトクラシーのディストピア、教育と努力で夢が叶うという神話、遺伝的宝くじ=遺伝ガチャで人生は決まるのか、"哲学芸人"のパフォーマンス、知識社会における経済格差は知能の格差の別の名前、知能だけでなく努力にも遺伝の影響があり、"頑張れない"のだ)」「経済格差と性愛格差(白人差別のレイシズムと下級国民の王トランプ、日本の非大卒は子どもの高等教育に関心もなく苦痛でもある、脳は科学や理性ではなく陰謀論で思考する、"神"になった"非モテ"のテロリスト、男は競争し女は選択する、貧乏な男はモテない現実、モテ・非モテ格差は解消できないうえ低所得の男は更に苦境に追い込まれる、リベラルに強い敵意をもつに至る)」「ユートピアを探して(資本主義は夢を実現するシステム、富のベルカーブは崩れて格差のロングテールへ、移民にもUBIを支給するのか、いくらでも稼げるUBIの問題、MMTへの3つの疑問、働くこととUBI、MMTの最後の雇い主)」「評判格差社会という無理ゲー(お金は分配できるが、評判はできない)」――。生き辛さが増していく社会、"残酷な世界"をどう生きるかを問いかける。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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