koukun.jpg植物は香りを使って他の動植物や昆虫・生物などと会話をしている。その香りで森羅万象を知る「香君」という女性がいた。権力とは別の権威たる""的存在だ。ウマール帝国を舞台にしての「香君」の壮大な物語。この巨大な帝国が作られたのは、遥か昔、神郷からもたらされた奇跡の稲・オアレ稲によって飢えから解放されたことによるものであり、「香君」がそれを庇護してきたからだった。「父上は、オアレ稲を喜びと悲嘆の稲、と呼んでいた」「オアレ稲は豊かさだけでなく、従属ももたらした(帝国は種籾を独占した)」「オアレ稲は化け物でもある。こいつは、自分だけを頼るように、人と、大地を変えてしまった」――。豊かさを保障するものであるとともに、支配の道具でもあり、さらに他の生物の生存をもなぎ倒す側面をもっていたのだ。そしてついに恐れた事態が発生した。その奇跡の稲にオオヨマがたかる虫害に襲われたのだ。「飢えの雲、天を覆い、地は枯れ果て、人の口に入るものなし、ああ、香君よ、風に万象を読み、衆生を救いたまえ」・・・・・・。

主人公はアイシャという少女。西カンタル藩王の孫で、人並み外れた抜群の嗅覚をもち、植物の世界を読み取る力をもっていた。しかしアイシャは、オアレ稲の栽培に危惧を唱える一族の末裔でもあり、帝国から追討を受けていた。捕縛され殺される寸前、マシュウ・カシュガに助けられ、現在の香君オリエのもと、菜園で働くことになる。      

そこに恐るべき虫害が国を襲い、土地を焼き払うしか術はなかった。オアレ稲に秘められた謎、宿命づけられた抜群の嗅覚を持つ自らの出生。自然をコントロールしようとする人間の業、そして自然からの逆襲・・・・・・。その戦いと煩悶、自然との対話が、「下」で展開されようとする。


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素晴らしい晴天となった28日、「八ッ場ダム完成感謝の集い」がダムサイトで行われました。約70年の歳月をかけて苦難のなかで完成した八ッ場ダム。コロナ禍のために、完成から2年遅れの式典となりました。斉藤鉄夫国土交通大臣、福重隆浩衆議院議員等の多くの国会議員、県市町村の議員、山本一太群馬県知事など多くの首長さん、大変苦労した地元住民の代表、建設に従事した国交省の歴代河川関係者らが参加。2013年、八ッ場ダムの建設を再開・推進した国交大臣の私としては、仲間ともいうべき人たちと感慨深い「語り合い」の場ともなりました。

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挨拶に立った人の発言は共通しており、「利根川水系の治水・利水を担い、首都圏を洪水から守ることができる」「連日、多くの観光客が訪れており、観光名所としても地域発展を狙うダムとして愛されることを願っている」「2019年の東日本豪雨で、台風襲来の2週間前にダムが出来上がった。なんと1億4500万トンの豪雨の半分以上、7500 万トンを八ッ場ダムで受け止め、大水害から首都圏を守った。劇的なことだった」など、思いのこもったものでした。放水式、テープカットを行い完成を祝いました。

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yasasii.jpgスリランカ人男性・クマラと結婚した日本人女性・ミユキとその娘・マヤが、日本の厳しい出入国管理制度に翻弄されていく様子を描く。入管制度の仕組みが、言葉も十分わからない彼らにとっていかに過酷なものか。そのことが息苦しくなるほど日本の私たちにとって迫ってくる。「偽装結婚ではないか」が焦点となるが、外国人労働者として入国し、失業した場合にいかに大変か。立場が不安定である上に、オーバーステイの問題、「審判」「退去強制、強制送還、5年間の入国禁止の恐怖」「収容所の厳しい環境」「在留特別許可の激減」「出生主義と血統主義、日本で生まれても日本人ではない問題」「収容所での電話の不許可、病気になっても十分医療が受けられないこと」「難民を保護することと外国人を管理するという同じ入管の抱える問題(入管から独立した難民認定機関の必要性)」「非正規滞在の仮放免では働けない問題」「非正規滞在では健康保険が使えない、入れない」・・・・・・。次から次へと難問が「小さな家族」におそいかかる。「強制送還されるか、死ぬか、どちらかを選べと言われている気がする」と追い込まれる。「出会って好きになった人と、ずっと一緒に暮らしたいだけなのに」・・・・・・。

スリランカの民話の話に「優しい猫」がある。クマラがマヤに語る。「親を猫に殺された子ネズミが、猫に窮状を訴える。それを聞いた猫は後悔する。そして自分にも子供がいるからと、一緒に育てる」という話。この話はマジョリティーとマイノリティーの話に思えるという。強い者、大きい者たちが、ネズミの真摯な訴えに耳を傾けて気づくということ。「猫の気づき、猫の覚醒」と指摘する。外国人との共生社会に向けて、外国人労働者問題は最も重要なものだ。この3年で大きく変わってきたと思うが、より本格的に具体的に急速度に対応しなければならないと思う。


keiei.jpg「構造的問題と僕らの未来」が副題。「社会学は社会の複雑な現象・変容をどう捉えるか。『構造的問題』として理解することが重要だ」「社会の『底』が抜けてしまっている」「『安全、快適、便利』なのになぜ生きづらいのか」との認識がある。そして「汎システム化とヒューマニズムの持続可能性の危機にいかにして対峙すべきなのか」という問題意識がある。

「生活世界」と「システム世界」――。人間らしい情の交いあう顔見知り同士の「生活世界」が、匿名性とマニュアルに従う「システム世界」に侵食されて、やがて完全に取って代わる汎システム化、システム世界の全域化になっていく。そこでは、流動的な労働市場で、社員や店員は「過剰流動性」と「入れ替え可能性」にさらされる。大企業のエリート社員、エリート官僚も同じで、「自分は一体何者であるのか」との「人間存在をめぐる不安」「孤独」から逃れられなくなっている。「安全、快適、便利」の一人ひとりの欲望の行き着く先が、この「システム世界の全域化」であり、「感情の劣化」「不安・孤独の暴発」という人間存在の変容をもたらしている。孤独に耐えられないことから無差別殺人事件などの悲惨な事件が起きる。

それに加えて、テクノロジーの進化、ネット社会の加速が、本来DNAに刻まれてきた人間性をも押し潰し、「仲間としての人間関係」「われわれ意識」を遮断し、人間関係は「損得化」に堕していく。さらに社会には秩序が必要であり、そのための統治が必要だが、「『まとも』に生きようとするより、『うまく』生きようとする『あさましい』『損得野郎』が溢れてくる。社会と人間の劣化がとめどもなく進む」と指摘し、嘆き、弾劾する。まさに「社会の『底』が抜けてしまっている」わけだ。国民=仲間から始まった国民国家は希薄化し、個人の主体性を頽落させて、民主政を世界中で機能不全に陥れさせ、社会の統治をいっそう困難にしているのだ。

それでは「システム世界の全域化と共同体の空洞化にどう向き合うか」――。ヨーロッパの知識人たちは伝統的にシステムを警戒し、スローフード運動などを通じてシステム世界の全域化に抗ってきたが、濁流に飲まれて挫折してきた。対称的アプローチをしたのがアメリカで、成員が「快・不快」で動く動物であっても社会が回るような統治のあり方を追求した。マクドナルド化をディズニーランド化によって埋め合わせるマッチポンプ的発想だ。これをさらに進めようとしているのが、新反動主義者や加速主義者だが、ともに我々の望むところではない。同感だ。「快・不快」の動物的性質を利用した統治よりも、人々の善意と主体性を基礎に置く統治を望む。「うまく」生きる人よりも、「まとも」に生きる人が溢れる社会こそ、「よりよい社会」だ。「テクノロジーやシステムを全否定はしない」「小さなユニットから再出発し、食やエネルギーの地産地消をテコにテックやシステム社会と共存する形で、(疑似)共同体自治を確立せんとする」といい、その波及を展開したいという。政府や市場を否定することなく、中間集団の(再)構築、小さいユニットから「われわれ意識」を取り戻すという提案だ。これには当然、人々をエンパワーするリーダー、利他的・倫理的で信頼されるリーダーが必要だが、「ミメーシスを起こす人間たれ」と講義を受講する人に呼びかける。社会と人間の変容にどう立ち向かうか。指摘しているのは考えているうえでのリアルである。


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22日、石川県で公明党政経懇話会が盛大に行われました。これには上田勇参院選予定候補をはじめとする公明党国会議員、岡田直樹参院議員など自民党国会議員、馳浩知事、県会・ 市会・町村会議員、各市町村長、経済界、各種団体代表らが多数参加。久しぶりの盛大な会となり、参院選勝利へ力強いスタートができました。私は講演を行いました。とくに上田勇さんは、内外の激動のなか、「必ずこの国難ともいうべき状況を脱するために全力で戦う」と熱く決意を披瀝。私は、上田勇さんと共に戦ってきた状況、外交にも経済にも圧倒的に強い、苦労もしていることを報告。「ロシアのウクライナ侵略は世界の枠組みを大きく変える暴挙だ。また日本の『長期にわたる緩やかなデフレ』は何としても脱却しなくてはならない。今こそ力ある政治家が大事だ。安全・安心の勢いのある国をつくるために今こそ立ち上がらなければならない」と、公明党、自公連立政権への力強い支援を訴えました。

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プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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