安倍元総理が亡くなって1年になる。「安倍元総理がいれば・・・・・・」と思うことが多くあったし、岩田さんと同じように衆議院第一議員会館1212号室に、ふっと身体が動いてしまう衝動に駆られることも多々あった。それだけ内外の情勢は複雑・混沌、重要案件は押し寄せてきている。「どう考え、どう行動するか。解決の道筋を探り当てるか」――安倍元総理は、「国を背負い」「戦略性を持った」「意欲あるリアリスト」「心優しい、笑顔の良い」政治家だった。帯に「最も食い込んだ記者による『安倍評伝』の決定版! 『回顧録』で明かされなかった肉声、暗殺前夜の電話まで、20年の秘話」とある。その通りだと思うが、長きにわたった激動の毎日を描くには、本書では短かすぎると岩田さん自身も思ったに違いない。
1993年の当選同期、2006年9月に自民党総裁と公明党代表の同時期、その後私は落選し、安倍元総理は失意の毎日という"地獄"の共有、2012年12月、第二次安倍内閣で国土交通大臣で閣内・・・・・・。率直に話し合い、大変にお世話になった。本書を読むなかで、思いが蘇った。9章にわたりまとめている。「第三次政権への夢(台湾有事は5年以内に起きる可能性も排除できない。日本を守るために、私が前線に出る必要が本当にあるかどうか。それは天が決めることだ。仮に、自分が望まれるなら、自然と機運が高まり・・・・・・)」「雌伏の5年間と歴代最長政権」「慰安婦問題と靖国参拝(戦後70年談話がもつ意味)」「トランプと地球儀俯瞰外交(直接差し向かいでのテタテの最大活用)」「拉致問題解決への信念(北朝鮮で殺されるかもしれない。政治家の妻として、覚悟しておいてほしい)」「習近平との対決」「生前退位と未来の皇室像」「スキャンダルと財務省」「岸家と安倍家の葛藤」・・・・・・。アベノミックス・デフレ脱却、平和安全法制、全世代型社会保障、防災・減災・ ・国土強靭化、観光立国日本、憲法論議などは少ない。
「日本再建」「政治とは、現実を直視した臨機応変の自在の知恵である」を共有したと思っている。