enerugi-.jpgあの福島原発事故時のNHK解説者であり、その後もずっとエネルギー問題、原発問題を取材し続けてきた両氏が徹底解説する。昨年12月、脱炭素、ウクライナ侵略以降のエネルギー危機、電気料金高騰、慢性的な電力不足と電力需給ひっ迫警報を受け、政府はGX実行会議において原子力政策の大転換を行った。「原発の新規建設」「運転期間の実質的な延長」が二本柱。福島第一原発事故以来、抑制的だった原発政策を推進の方向に舵を切ったわけだ。現在は「処理水」に目がいくが、現在「原発」が抱える諸問題、再生可能エネルギーの現状も含め、日本のエネルギー問題全体の課題に迫る。

当時、54基余りが稼働できた時代と違い、今年5月時点で再稼働した原発は10基。厳しい新たな規制基準を受け、福島を含めて24基の廃炉が決まり、日本は「大廃炉時代」を迎える。これもまた大変なことだ。3.11原発事故で溶け落ちた核燃料デブリは約880tに及ぶ。原発の新規建設「次世代革新炉」といっても、「革新軽水炉」「小型軽水炉(SMR)」「高速炉」など資金、技術、人材等、それぞれ大きな課題を持っている。まさに難題山積。日本が掲げた核燃料サイクルも行き詰まり、最終処分場の確保も難しい状況だ。フィンランドやスウェーデンのような岩盤は日本にはない。難題だらけであることを現場を取材しながら両氏は指摘する。加えて、原子力業界の特異な成り立ちや複雑性、熟練の現場技術者と幹部との意識の違いや、「電力会社」と「原発メーカー」の違いなども語られる。「原発」が高度な技術によって成り立っていることにも起因している。福島第一原発事故から12年、その時に起きていたことと、今後のデブリの取り出し、廃炉への長い苦難の道のりが語られる。

「立ち遅れる再生可能エネルギー」として、「洋上風力発電は切り札になるか」「ジャイロ式波力発電」等の現状と資金等の課題も指摘している。

「原子力には、積み残しとなっている課題が多々ある」とし、「『推進』も『反対』も、一般市民も集まり、課題解決のための徹底した議論を行い、方向性を見出していかなければならないと思う」と言っている。「時間軸をもつ政治」「対応型ではない熟議する政治」が重要であることを改めて感じる。大転換期にある今こそである。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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