「あの人物に嘘は通用しない」――加賀恭一郎がきちっと理詰めで攻めていくシリーズ最新刊。8月の別荘地に裕福な家族が集まってくる。総合病院を経営する櫻木洋一と妻・千鶴、そのわがままな一人娘・理恵と婚約者・的場雅也。大企業の会長・高塚俊策とやり手の妻・桂子と会社の部下の小坂家3人。公認会計士の栗原正則と美容院経営の妻・由美子と中学生の娘・朋香。6年前から別荘地に移り住んだ未亡人の山之内静枝と姪夫婦で病院に勤務する鷲尾春那・英輔。そこで今年も恒例のバーベキュー・パーティが行なわれた。その夜、連続殺人事件の惨事が起きる。閑静な別荘地で、ある意味では、閉鎖された密閉空間での恐るべき殺人事件だ。
5人殺害、1人未遂――。殺されたのは櫻木洋一、高塚桂子、栗原夫妻、鷲尾英輔、未遂が的場雅也。ところがすぐに「俺が犯罪者だ」「生きている意味を感じないので、死刑になりたい。自分を蔑ろにした家族への復讐」と桧川大志という男が名乗り出て逮捕される。しかしそれ以上何も語らない。また被害家族との関係も全く見出せなかった。
事件に巻き込まれた家族たちは、真相を自分たちで解き明かそうとし、遺族が別荘地に集まり、検証会を実施することになる。鷲尾春那に頼まれ、長期休暇中の刑事・加賀恭一郎もそれに参加することになる。そして参加者には、「あなたが誰かを殺した」という手紙が送られていたことがわかる。疑心暗鬼の被害家族、次第にわかってくるそれぞれの家族の複雑な内情・・・・・・。そして事件の真相を加賀恭一郎が整理し、分析し、核心に迫っていく。いつもながら見事な東野圭吾の世界。