tyoukiseiken.jpg後藤さんの平成政治史のシリーズ最終巻。4巻目は第二次安倍政権のスタート、アベノミックス、参院選・衆院選の勝利、平和安全法制、伊勢志摩サミット、消費税増税延期など、2012年末から20169月までを描く。今回は20168月からコロナ禍が始まり退陣に至る20209月までが描かれる。私にとっては201510月まで3年間に及んだ国土交通大臣が終わり、公明党議長として関わった時代だ。

本書を読むと、自分でも思っていない位の激動。激動の毎日だと、その激動が当たり前として感ずるのかもしれない。この間は、「天皇退位」「トランプ大統領就任」「森友問題(モリカケ)と文書改竄」「2017年秋の衆院選(希望の党騒動)」「反日的韓国政治と衝撃の米朝接近」「安倍・プーチンの北方領土交渉」「消費税10%時代突入」、そして「コロナ」、さらに「安倍最長政権に幕」となる。読みながらも20227月の安倍元首相の銃撃死をどうしても思い出してしまう。

「デフレ脱却」は、「日本の安全保障」とともに、安倍元首相の最大のテーマだったと思う。2014年の消費税引き上げを乗り越え、「デフレ」の完全脱却寸前に、2019年の消費税引き上げとコロナの急襲が重なったことは痛かった。公明党が立党以来積み上げてきた社会保障について、安倍元首相は我々の声を聞き、20181月の施政方針演説冒頭で、「全世代型社会保障」実現に踏み込む決断をした。高齢者中心だった社会保障を、子育てや学生の支援、認知症やがん対策、さらには就職氷河期世代の支援にまで拡大し、安倍第二次政権以降、社会保障は大きく進んだ。国際情勢の大変化、地政学的危機と地経学的危機のマグマが噴出・共振するなか、「自由で開かれたインド太平洋」「平和安全法制」「経済安全保障」が進んだことも重要だ。それらには、リアリスト・安倍元首相の姿が如実に現れている。その他にも、私にとっては「外国人労働者の入管法改正」「コロナでの10万円支給」「検察庁法改正」「西日本豪雨、東日本豪雨と八ッ場ダム」など様々な思いがある。

政治家には、3つのS (政局、選挙、政策)が重要だ。最近は政局観のない政治家が多いと指摘されるが、本書は政局も選挙も述べられている。政治家の心の奥底をよく見抜いているのは、現場でのキーマンに直接当たっている後藤さんだからこそできるのだと思う。「政治は人がなすもの」だ。これほど膨大な資料を駆使した著作は凄い。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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