20120713ナミヤ雑貨店の奇蹟.jpg悩み相談にナミヤ雑貨店が回答する――過去と現在で手紙がやり取りされる不思議な物語。東野作品には珍しい、事件とかサスペンスではない。悩みながらも生き抜く、善意の人が織りなす心温まる話。しかも「ナミヤ雑貨店」と「丸光園」、登場人物は全部繋がって面白い。

親子、仕事、恋人、夢、人間関係――「夜更けにハーモニカを」の第二章から、一気に引き込まれる。

この小説とは別だが、人生相談を受ける――。回答する――。緊張するものだ。


現代文明論講義.jpg現代文明の病――それはニヒリズムであり、ニヒリズムはヨーロッパの歴史そのものだ、と佐伯氏は言う。

それではニヒリズムとは何か。それは至高の諸価値がその価値を剥奪されて無意味となることであり、最高の諸価値の崩落である。ニーチェは、世界の虚構性を暴き、統一の崩落、目的の崩落、真理の崩落の3つをニヒリズムの形態としてあげる。その崩落感を避けようとすれば、意味を問わない、物事の底を問うなということになる。しかし、人は無価値の世界に住むことはできないがゆえに、生命尊重主義、自由平等、個性の尊重など新たなフィクションをつくり出す。

20世紀に入り、近代の超克が、問題となったが、ハイデガーは「存在するもの(存在者)」に意味を与えようとする。死を先取りした現在の意味付け、決断だ。一方、日本の思想は西欧は有、存在の思想に対して無の思想だ。無が存在を支えているがゆえに、我々は深刻なニヒリズムに陥ることはない。佐伯さんは日本思想のもつ可能性を示す。

本書は「ニヒリズムをめぐる京大生との対話」という副題をもち、マイケル・サンデルの白熱授業に類して学生との対話を行なっているが、奥行きは東洋思想にも及ぶだけに深い。
私は、「有と無」で「空」、「存在と時間」で「常住と無常の法」に思考が及ぶ。ニーチェは"客観的真実は存在しない。あるのは1人1人の解釈(どう意味をもたせるか)である"というが、それには意識と無意識、仏法の九識論を考える。


20120706日本は世界一の環境エネルギー大国.jpg一昨年6月、エネルギー基本計画が打ち出された時、原子力は"原子力ルネッサンス"ともいうべき世界的なトレンドの中にあった。太陽光、風力、小水力、バイオマス、地熱......。今は"再生可能エネルギールネッサンス"を始めなければならない。

「風力発電のフロンティアは洋上」「日本の太陽光発電技術は世界一」「導入ポテンシャルの高い地熱」「豊かな水資源が助ける小水力」「アメリカのシェールガス革命」「日本の海底にある宝のガス、メタンハイドレード」「蓄電池で世界をリードする日本」「世界に先駆けて日本が開発する宇宙太陽光発電」――。日本の可能性はヤマほどある。

さて問題は、必ず突き当たる障害をそれぞれがもっていることだ。それを突破できるかどうか。エネルギーをめぐって激しい競争の世界。時間との競争でもある。


20120703誰も書かなかった日本の戦争.jpg 1890年から1945年まで、考えてみればわずか55年。人類は二度の大戦を行い、日本は日清、日露、太平洋戦争へ進んだ。膨大な近・現代史だが、田原さんの問題意識は、鮮明だ。「日本は侵略戦争をしたのか」「ほとんどの人が負けるとわかっていた戦争になぜ踏み込んだのか」――全てがそこに照準があるがゆえに、それと自らの人生を考察しているがゆえに、本書は他をそぎ落とした明解さが際立つ。

"対華21か条要求から侵略"と考えてきたが、本書では、日露戦争の同時期、朝鮮における日本の動きは先行していると思われる。当時の伊藤博文や、あの昭和の戦争で回避を考えていた人たちが多いのに、激論の最後は国家よりも組織益に傾く判断が常にあった。

状況のなかから考える"流れ思考"。世界の状況、情報から隔離された稚拙な判断。今、自らも歴史のなかにいることを省みる。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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