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3日、三重県で党夏季議員研修会が開催され、出席しました。また8月27日には、新潟県の党夏季議員研修会に出席。いずれもOB議員の代表とも懇談をしました。

今年は、「大衆とともに語り 大衆とともに戦い 大衆の中に死んでいく」の立党精神が発せられて60年――。どこまでも「太陽の党」「庶民の党」として、現場第一主義で戦っていくことを誓いあいました。


昭和3年、1年半ほど断筆した江戸川乱歩が、「陰獣」で戻ってきた。「猟奇耽異を過剰に描き、大衆の低俗な好奇心を刺激するばかりの似非乱歩風作品が増殖し、読者の知的興味に訴える文芸の高級なジャンルとしての探偵小説不在を嘆く批評も目につくようになった。不健全派の旗頭と言われ、文芸を頽廃させる悪の根源のように思われては、くさるのも無理はない(風間賢二)」というなかでの江戸川乱歩の再登場だ。「意表をついた犯人像を描いた変格探偵小説して、昭和初期エログロ・ナンセンス隆盛への誘い水となった(風間賢二)」という時代を背景にし、時代を画する作品になった。

探偵小説作家・寒川が主人公で、美貌の人妻・小山田静子と知り合い文通を始める。ところがその静子に恐ろしい脅迫の手紙が次々と届けられる。まずは夫である小山田六郎を殺すという。脅迫してくるのは変格小説作家・大江春泥。じつはこの男は、ずっと若き頃から静子に恨みを持っていた平田一郎。そして、寒川と静子はドロドロした恋仲となり、寒川は大江を探すが全く手がかりがない。そんななか、小山田六郎変死事件が起きる。心の中を覗くようなじっくり読ませる小説だ。


kaiiryouki.jpg18世紀英国ゴシック小説が、時代とともに変化・展開し、日本で本格・変格推理小説に変容し、今日に至る怪異猟奇ミステリー全史を語る。まさに古今東西、驚くべき博覧強記に圧倒される。人間が怪異猟奇、怖いものに惹かれ、性欲・本能の社会的逸脱にのめり込むことは致し方ない生命の本質的乱射ではある。秩序と抑制をベクトルとする人間の歴史にあって、ミステリー小説は、異端であり、流行りものであった事は否めない。それが時代を経て、数々の文学賞を獲得するに至るほどの地位を得る。その変遷が本書からよくわかる。大変な力技を感じた。

 「ゴシックの元来の意味は、ゴート人のようなということだった。それが転じて、無教養の、野蛮な、無粋な、という意味に変化した」という。この「ゴシックこそがミステリーの源流」であることを示す。アン・ラドクリフの「ユドルフォ城の怪奇」は、恐怖と驚異を語った傑作。18世紀末だ。そして1830年代に登場するエドガー・アラン・ポー。今日の推理小説・探偵小説の始祖、「モルグ街の殺人」「黒猫・アッシャー家の崩壊」など自我の分裂と異常心理が描かれる。そしてコナン・ドイル。シャーロック・ホームズが人気を博す。ドイルは当初、ホームズものを生活費稼ぎのために執筆していたといい、専業作家としては他のタイプの小説を書きたかったようだ。面白い。

 「進化論と退化論は表裏一体」で、「ジキルとハイド」「吸血鬼ドラキュラ」などが生まれている。19世紀後半は日本でいえば明治。ダニエル・デフォーの「ロビンソン・クルーソー」は植民地政策が背景にあり、日本ではそれが翻訳されて人気を博す。その明治時代の翻訳王が黒岩涙香だ。彼は俗悪なすっぱ抜き記事で小新聞を率いるが、翻案は講談にまでなる。当時の日本は、夏目漱石が言うように「探偵は高利貸しほどの下等な職業」で「文学界という花園を荒らした」と弾劾されたという。大正時代はモーリス・ルブランの怪盗紳士アルセーヌ・ルパンが話題を呼ぶ。ルパンやジゴマ、ファントマを受けて、江戸川乱歩の怪人二十面相が描かれる。「(江戸川乱歩は)創作は初期はドイル、中期は谷崎潤一郎、後期は黒岩涙香といった具合に、読書遍歴の始原へとさかのぼっていった」と解説する。名探偵・明智小五郎の活躍だが、当時はまだ若者であった横溝正史など、時代の背景には猟奇的殺人事件などがその時代に起きていたこともある。阿部定事件や2.26事件は1936年だ。夢野久作から、綾辻行人、京極夏彦。探偵小説から推理小説、そしてミステリーヘ。連綿と受け継がれたその流れを圧倒的熱量で描き解説する。

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プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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