sorawokoete.jpg星にまつわる7つの短編。「南の十字に会いに行く」――「七星、南の島へ行くぞ」と、突然、父・寺地北斗に言われて石垣島に行く。中学の合格祝いということだが、去年と違って母がいない。後で謎が明かされるが、母・寺地舞亜は宇宙飛行士としてアメリカに行ったのだ。石垣島でも多くの人と不思議な出会い、縁を結ぶ。「星は、すばる」――同級生の過失で右目を刺された小学4年生の少女の話。星降る夜に「宇宙飛行士になる」と衝撃的な出会いをした「オイラ」は語る。まるで星の王子様みたいな少年の夢を聞き、「私も、宇宙飛行士になりたい」と思う。「箱庭に降る星は」――廃部寸前のオカルト研究会、天文部、文芸部の3つの部。成績抜群でトップ、スポーツ万能で美人の生徒会副会長が奇抜な提案をする。三部合同の「スぺミス部」を作って自らも加わるというのだ。「木星荘のヴィーナス」――お兄ちゃんが大学生になって上京、木星荘で容姿抜群、有名大学に通う頭脳明晰、明るくて親しみやすい金江さんに会う。そして「孤舟よ星の海を征け」「星の子」「リフトオフ」と続く。7つの短編と思いきや、すべての話が合流して、月へ向かう宇宙飛行士・寺地舞亜の壮行会に集まる。もちろん父も私(七星)も。生徒会副会長も金江さんも星の王子様も実は・・・・・・。

人生は価値創造。積極的に、決断して、自分を等身大に見ておごらず、たゆまず、まっすぐに、夢を持って。そして愛と涙で包む。周りは振り回されて大変だが、それもエネルギーでうまくいく。北斗七星と宇宙にきらめく星、夢の世界が描かれる。


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17日、地元滝野川の「祭り」行事が3年ぶりに縮小して行われ、何箇所か回りました。コロナ禍で行事が次々と中止となり、町会の方々と会うのが久しぶりの方も多く、大変喜んでいただきました。こちらが嬉しく楽しく。「道路を町会に確保してくれたので、このようにテントが張れました」「縮小しても3年ぶりのお祭りができてうれしい」との声。岡本三成衆院議員、宮島おさむ北区区議会議員と共に回りました。


kurigayu.jpg深川の駕籠舁き、江戸を疾駆する疾風駕籠の新太郎と尚平のコンビ。新太郎と同じ木兵衛店の店子である桶職人の鉄蔵が「俺はもうもたねえ」「幾日ももたねえのは、おれが一番わかっている」「おれの蓄えをそっくり遣って、死ぬ前に茶碗半分でもいいからクリ粥を食べたい」という。天明8年11月、もう寒くなっていて、クリの季節はとうに過ぎている。新太郎らは、懸命に走り回る。いろんな嫌がらせにも合うが、まさに「運は人の連鎖」――。まっすぐで、人の頼みとあれば何でもやる。一筋の新太郎らは、次々に助けを得て、ついにクリを獲得する。

立派に葬式を終えるが、真面目な仕事ぶり、寡黙ながら人柄の良い鉄蔵は、54両もの慶長小判を残しており、新太郎と尚平に渡すとの遺言を木兵衛に託していた。何に遣うか・・・・・・。木兵衛店の横にある小さな空き地に桜の木を植えようとすることになる。ここでも2つも3つも難関があったが、木兵衛、桜の職人・棟梁の義三、花椿の女将・そめ乃----。多くの人々の腹を決める助力によって実現をみる。

「あの桜は、なおしの桜じゃの。住持のつぶやきに、あの木兵衛が背筋を震わせた。なおし酒を好み、吹上の桜を木兵衛店に呼び込んだ鉄蔵。くじけるな。やり直しができるのが、ひとの生涯」・・・・・・。江戸の街が目の前にあるような、その中での長屋、人情の深いつながりの生活、職人の生真面目さ、何よりも義侠心に厚く頼まれたら断れない(たてひきが強い) ひと、口数は少ないが引き受けた事は命がけでこなし、身体を張ってひとのために尽くせる男。「見て呉れだけの男はこの土地には無用だ」という江戸の世界が、なんとも魅力的に描かれる。貧しくとも良い時代というのが、日本には続いてきたのだろうか。


itimannenn.jpg「北国の小さな本屋が起こした奇跡の物語」が副題。メディアでも紹介され話題となった北海道砂川市にある「いわた書店」が、2007年から始めた「一万円選書」――。当初は反響はなかったようだが2014年、テレビで紹介されるや一気にブレイク。放送3日後にはなんと555件の申し込みが来たという。ミソとなるのは「選書カルテ」。「これまで読んで印象に残っている20冊は」「これまでの人生で嬉しかったこと、苦しかったことは?」「一番したいことは何ですか?」などの問いに答えてもらって作るカルテ。それに基づいて一万円、10冊程度を選んで送るという。お客さんとのやりとりは何度も繰り返して行われる。熱意と配慮、想像力、これまでの読書量なくしてできないことだ。

「最近、面白い本はなんですか」と聞かれることは日常だが、「どんな本を読んだらいいですか」と、かつては多くの人に聞かれた。本を選ぶのは意外と難しいようだ。岩田さんの努力に心からの敬意と拍手を送りたい。

現実に選んで送った本が紹介されている。約90冊。読みたくなった本がいっぱいある。


22seikino.jpg「選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる」が副題。データ・アルゴリズム・ポエムを使ったビジネスと公共政策の想像とデザインを専門とする成田さん。イエール大学助教授であるとともに企業とも仕事をして、ファッションや広告などのおすすめアルゴリズムを開発している。こうしたアルゴリズムが公共政策領域、教育・医療等にも流れ始めている。AI の急進展、Web 3.0時代から今の選挙や政治、民主主義の状況を見ると、あまりにも異常であり大変化は免れない。その「異常を普通に」するために「民主主義更新のためのサバイバル・マニュアル」を提示する。「無意識データ民主主義の構想」だ。AI時代で中間管理職が整理されたり、税理士などの専門家が縮小を余儀なくされると指摘される。やがてしっかりしたアルゴリズムが出来上がれば、政治家は不要で、政策立案官僚は、淘汰されていく。22世紀まであと80年――。必ずしも荒唐無稽ではなく、むしろそうした方向であることを考えて、今後の選挙や政治を考えることもあり得ることだ。それ以上に、国家・社会の仕組みとテクノロジーの課題を考えるべきであろう。

「無数の民意データ源から意思決定を行うのはアルゴリズム。このアルゴリズムのデザインは、人々の民意データに加え、GDP ・失業率・学力達成度・健康寿命・ウェルビーイングといった成果指標データを組み合わせた目的関数を最適化するように作られる」「無意識民主主義は、①エビデンスに基づく目的発見②エビデンスに基づく政策立案、この2つを足すことになる」「人間政治家は徐々に滅び、市民の熱狂や怒りを受け止めるマスコットとしてネコとかゴキブリになる」というわけだ。また国家という観点から言えば、Web3デジタル国家は、既存の国家や社会から資産家たちが逃げ出していく未来という側面を持つ。タックス・ヘイブンとデモクラシー・ヘイブンだ。

「選挙なしの民主主義は可能だし、実は望ましい」「それが無意識民主主義であり、センサー民主主義、データ民主主義、アルゴリズム民主主義で、22世紀に向けた時間軸で取り組む運動だ」という。

少しだけ付け加えると、「民主主義は参加と責任のシステム」だ。この「参加」というのがまず難しい。そもそも「民意」というが、1人の人間の意見、考えそのものが千変万化、一瞬一瞬変化していくものであること。その統計学的なデータが果たして「民意」といえるものなのか。他国や他者についての考えもゆれ動き、それが社会を構成するという事。国家について言えば、国家統治において危機管理は大事な柱だが、AI ・データ・アルゴリズムがその役を担えるのか・・・・・・。これから50年、100年と、人類は自ら作ったテクノロジーとどう付き合うのか。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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