saigairettou.jpg「女川町の奇跡 防潮堤のない復興まちづくり」が副題。東京都で道路、橋梁、下水道、まちづくり、河川事業などに従事。特に都市計画・区画整理、スーパー堤防などを現場に入りながら実現してきた土木の専門家の土屋信行氏。東日本大震災で壊滅的な被害を受けた女川町に入り、「海の見えるまちづくり」「町をまるごと区画整理」「被災した市町村の中で唯一の防潮堤のない町・女川」を造り上げた。防潮堤の後背地を低いままで非居住エリアとするところが多いが、女川町は防潮堤と同じ高さまで盛り土をして商業ゾーンを築く。基準となる「L 1(レベル1)」の高さのスーパー堤防方式で街を造り、住まいの住宅はレベル2の高台に造る。女川町ではレベル14.4メートル、レベル21718メートルとなる。当時、防潮堤はレベル1を基準として各市町村で高さを決め、高台まちづくりは防災集団移転促進事業で行い、高齢者に配慮した災害公営住宅をできるだけ早く造る、これが基本であった。土地区画整理事業には、困難が多い。スーパー堤防でも、はなから反対、とにかく反対だというところから始まってしまう。完成すれば喜びと感謝が溢れるものだが、地元の方の人生を賭けた選択と決断、支援があってできるものだ。「女川町の防潮堤のない復興まちづくり」ができたのは土屋さんの経験に基づくリーダーシップと、それに応じた女川町の人々の熱意によるものであることは間違いない。どれほど困難な項目があり乗り越えてきたか、本書は貴重な記録である。

「災害列島の作法」が表題だが、古来から近代に至るまでの自然との戦いの中で培われた知恵と技術が日本にはある。防災の作法、まちづくりの作法、河川をなだめいなすという日本伝来の作法等があり、本書に書かれている。土木はシビルエンジニアリングといい、社会のため未来のために、ひたすら尽くす。それが誇りだ。私も土木屋の一人だが、苦労と志に共感する。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

太田あきひろホームページへ

カテゴリ一覧

最新記事一覧

月別アーカイブ

上へ