笹子トンネル天井板落下事故から10年(2012年12月2日)――。9人の方が亡くなられる大事故でした。直後の12月26日、国土交通大臣に私が任命され、1月にはお正月に東日本大震災視察、笹子トンネルを視察。ボーイング787機のエンジントラブルが発生しました。

「公共事業悪玉論」が1990年代からはびこり、止どめは「コンクリートから人へ」を掲げた民主党政権。八ッ場ダムの建設は止まり、北海道などの道路工事は凍結され、2011年には東日本大震災に見舞われました。

熊本視察① (1).JPG

私は直ちに、「2013年をメンテナンス元年」とする。防災減災に力を入れる。「防災・減災、老朽化対策、メンテナンス、耐震化」に公共事業を大転換する、そう決めました。予算編成においても、その部分の比重を50%以上に向ける決断をしました。これも大転換です。そして「老朽化対策」の工程表を定め、今日に至るまで実施されています。1960年代から建設された公共インフラ。例えば道路部分の橋梁は、高度成長時代は年間1万橋が建設され、現在の新設は2千橋ぐらい。50年が経過し、老朽化対策やメンテナンスが重要となっています。1930年代に作られたアメリカのニューディール政策のインフラが、50年経過した1980年代、橋梁等が落下し、「荒廃するアメリカ」と言われたのは有名な話。

10年以上続いた公共事業の予算削減を止め、「担い手」が重要だとして、「設計労務単価」を大幅に引き上げました。この10年で設計労務単価は1.57倍と急上昇。若い職人さんが育つように、現場の職人さんにその賃金上昇が届くように全力を挙げてきました。まだまだ足りません。そこで若者が入ってくれる職場にと、「きつい、汚い、危険」の3k職場を変えようとし、新しい3 K「給料がいい、休暇がある、希望がある」の職場にしようと呼びかけ、今も日建連を始めとして続けています。

sytokou.jpg 宮城①.JPG

「公共事業はムダであったり悪玉ではない」「公共事業は命を守る」「インフラ整備は便利を獲得するだけでなく、命を守り、生活を守り、防災・減災によって事前に手を打つ」「全国のインフラを総点検し老朽化対策、メンテナンスに力を入れて事前に事故を防止する」「何よりもインフラ整備は、それによって産業を発展させるインフラのストック効果を生む。経済発展の源たるインフラ整備だ」と言う思想への大転換が、東日本大震災と笹子トンネル天井板落下事故の教訓からなされました。政府の中でも、私たちが机を叩くほどの戦いのなか変革させた10年でもありました。未来を見据え、さらにがんばります。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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