nenpyou.jpg「未来の年表」シリーズの第5弾。「瀬戸際の日本で起きること」が副題。業界、ビジネスの分野で何が起きるか、その姿を露わにする。「人口減少がビジネスに与える影響は、マーケットの縮小や人手不足だ。しかも、マーケットの縮小とは単に総人口が減るだけの話ではない。若い頃のようには消費しなくなる高齢者の割合が年々大きくなっていく。今後の日本は、実人数が減る以上に消費量が落ち込む『ダブルの縮小』に見舞われる」「この国内マーケットのダブルの縮小と、勤労世代の減少(担い手不足・人手不足)という『ダブルの変化』にどう対応するか」と指摘し、「戦略的に縮む」という成長モデルへの転換を提示する。「各企業が成長分野を定め、集中的に投資や人材投入を行うことによって、『戦略的に縮む』のだ」と指摘する。

第1部の「人口減少日本のリアル」には愕然とする。「革新的ヒット商品が誕生しなくなる(製造業界に起きること)」「整備士不足で事故を起こしても車が直らない(自動車産業に起きること)」「地方紙・ローカルテレビ局が消える日」「ドライバー不足で10億トン分の荷物が運べない(物流業界に起きること)」「30代が減って新築住宅が売れなくなる(住宅業界に起きること)」「ローカル線が消えていく」「地方に住むと水道代が高くつく(生活インフラに起きること)」「2030年頃には患者不足に陥る。『開業医は儲かる』という神話の崩壊(医療業界に起きること)」「多死社会なのに寺院は減少、葬儀も『直葬』が一般化する」「60代の自衛官が80代〜90代の命を守る(自衛官や警察官の担い手不足と高齢化)」をはじめとして、各業界の担い手不足、人手不足がいかに深刻か。地方の疲弊は想像絶するものになること、マーケットの縮小が各業界に根本的な転換を促すことを示している。

昨年の出生者数は約77万人、今年の成人式参加対象者(20歳)が117万人、団塊の世代最大の昭和24年生まれは270万人、戦争で極端に少なかった私の昭和20年生まれでさえ140万人。特にこの数年の100万人を切ってからの減少の激しさ(100万人を切ったのは2,016年)は、20年、30年後の日本の厳しい姿を示している。国内マーケットの激減と担い手不足・人手不足が、日本社会と各業界に襲いかかるのだ。「未来の年表」シリーズが示す現実から目をそらすことはできない。第二部の「戦略的に縮むための『未来のトリセツ(10のステップ)』」も重要だ。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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