daisanno.jpg「激突する『一帯一路』と『インド太平洋』」が副題。人口は、2023年中に中国を抜いて世界第一位になるとされ、経済規模でも2022年にかつての宗主国・イギリスを抜いて米中日独に次いで五位、軍事費の伸びも著しく、20 21年時点でアメリカ、中国に次ぐ存在となっているインド。日米豪印戦略対話「クワッド」の一角を占め、二国間でも日米との関係強化を進めてきたインド。世界の舞台で、インドの影響力は高まっているが、ロシアのウクライナ侵略についての国連安保理のロシア非難決議案に対し、インドは棄権票を投じた。本書は、「ユーラシアとインド太平洋を俯瞰するとともに、南アジアとインド洋を中心とした地域の動きを分析することで、インド、中国、そして日米による新たな『グレート・ゲーム』の諸相を描き出そう」としたもの。

インドと米国、日本との関係は深い。しかし、一方で、旧ソ連時代に、ロシアとの「事実上の同盟」の強固な関係があり、今も「軍備」と「エネルギー」をロシアに依存していることも事実。印中国境紛争や印パ戦争を経て、「米中パキスタン」対「ソ印バングラデシュ」の構図が19 71年にできあがる。さらに「湾岸戦争」「ソ連崩壊」を経て、アジア重視外交、2014年のモディ政権による「アクト・イースト政策」へと至る。しかし同時期に中国は、「一帯一路」のユーラシア戦略に踏み込む。そして「自由で開かれたインド太平洋」をめぐる日米印の合従連衡が立ち上がる。

「南アジアでしのぎを削る、インドと中国」では、パキスタンの港湾都市グワーダル、中国・パキスタン経済回廊、ハンバントタ港開発で「債務の罠」に陥ったスリランカ、一帯一路と相容れないインドの核心的利益等が具体的に描かれる。

ユーラシアの地政学的、また地経学的動向を具体的に示す中で、インドの存在感と自律的な戦略が浮かび上がってきている。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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