okinawa.jpgロシアによるウクライナ侵略――「起きるはずがない」と思った戦争が起きた。「私たちの勝手な解釈が判断を誤らせた」「日本も戦場にならないとは言い切れない。『中国が日米を巻き込むはずがない』というのは、あくまでも私たちの願望に過ぎない」「政府は2022年12月、国家安全保障戦略等を改定し、反撃能力の保有を決めた。それは『相手に攻撃を思いとどまらせる抑止力になる』というが果たしてそうか」「安全保障の鉄則は『最悪のケース』を想定することだ」「日本の政治も社会も、安全保障について、徹底した論議が行われていない。徹底的に議論しておかないと、有事の際に一番大事な国民の支持や団結が得られない」・・・・・・。「ウクライナ、台湾、そして日本――戦争の世界地図を読み解く」が副題だ。

「ウクライナ危機が示した新しい事実」――。「NATOこそが真の敵(プーチンの動機)」「核兵器を持たない国の悲哀ーーウクライナの核放棄は正しかったのか」「核で脅し核で潰れるロシア――膨れ上がる軍事費」・・・・・・。

「ウクライナ危機は、アジアの安保にどんな影響を与えたのか」――。「NATOなきアジアの苦悩(ASEANを軽視したツケ)」「容易ではないインドの取り込み」「日本は今後、中国、ロシア、北朝鮮の3正面の脅威と向き合う」「日本と豪州の接近」・・・・・・。「日本周辺の軍事バランスの変化」――「復活する北海道の戦略的価値(北転から西転、ふたたび北転へ)」「対米では『脅し』、日韓には『実用』の北朝鮮のミサイル」。ロシアによるウクライナ侵略は、北朝鮮の核放棄を一層困難にしていると指摘している。

「台湾有事は本当に起きるのか」――。「第一列島線は、海の万里の長城」「3隻の空母と核ミサイル」「米国は日本(沖縄)に何を求めているのか(米軍は、沖縄や横田、横須賀、佐世保の各基地から台湾の支援に向かうだろう)」・・・・・・。

「先の大戦と沖縄」――。「第32軍の南部撤退で混乱した沖縄戦(住民の避難先に軍隊が押し掛けた)」「沖縄・南西諸島の今(石垣・尖閣、宮古島、台湾に最も近い与那国島の変化)」・・・・・・。

「日本の国家安全保障戦略に何が足りないのか」――。「防衛力の強化にあたっては、安全保障環境などを踏まえて、脅威がどの程度なのか分析し、相手の戦略や意図を理解し、どのように事前に抑止し、実際に戦闘が起きたときにどう対処するかを考える必要がある。防衛費のGDP比2%達成やミサイル1,000発の保有が、防衛力の抜本的強化ではない(折木良一元幕僚長)」などを紹介しているが、「各論ばかりの先行」ではなく、「論点を抽出して、国民に示し、徹底した国民的議論が不可欠だ」と強く主張している。ウクライナを見れば「自分の国は自分で守る気概」「有事の際に、最も大事なのは、国民の支持や団結を得ること」。著者は、現場を知悉している専門家だけでなく、北海道から南西諸島まで徹底して現場を取材した上で、「どう日本を守るか」を問いかけている。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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