fujiisouta.jpg1011日、王座戦に勝って藤井聡太竜王が212ヶ月で史上初の8冠独占を成し遂げた。優勢であった永瀬拓矢王座が、痛恨の一手で形勢逆転。それをもたらしたのは、AIも予想せぬ一手で永瀬を惑わしミスを誘い出したという。驚くべき印象的な対局だった。その藤井聡太の「心の整え方」「頭の使い方」を師匠である杉本昌隆8段が語る。

将棋の世界でプロになるためには、奨励会に属さなければならない。小学生でアマチュア4段クラスを力を持つ子供たちが試験を受けて入会、研鑽を進めて、3段まで上がると最も厳しい「3段リーグ」が待ち構えており、これを勝ち抜いて4段となり、初めて棋士になれる。しかも年齢制限があり、21歳までに初段、26歳までに4段に上がらないと戦いの場からはじかれてしまうという。厳しい世界だ。AIの申し子とも言われる藤井8冠だが、「彼の指し手は、極めて人間的なもので、AIのパターン認識を超えた創造力といえる」と言う。

「対局前に作戦を立てることを構想というが、ガチガチの構想を築いてしまわず、ひたすら目の前の状況だけに焦点を合わせ柔軟に対応するのが藤井の構想力」「最善手を最速で見抜くスピード。計算のスピードが全く違う」「角と桂馬の使い方が抜群にうまい。対角線、斜めのラインを強く意識させる。駒に角度がある」「リスクを恐れない。相手の駒を呼び込めるだけ呼び込んで、見た目には形勢不利と見せながら、その実、相手方に、もう打つ手のない状況を作り出す(自分の玉を「打ち歩詰め」にしたこともある)」「藤井曲線――相手からリードを奪ったときに、その有利を藤井は絶対に手放さない」「集中力の持続と脳のスタミナがある(集中力の持続力)」「プレッシャー、緊張を前向きに捉え、成功へのエネルギーに変える向上心が平常心を生んでいる」「本物(強い棋士)に触れることで、成長が早まった」「藤井の探究心は『楽しい』の感覚」「棋士は勝負師、研究者、芸術家の3つの顔を持つべきだ(谷川浩司17世名人)

「才能とは、努力を続けられること」とあるが、全くその通りであろう。「藤井聡太は今、100メートル走で言えば、1人だけ9秒台で走った男。1人が10秒の壁を破ると続々と出てくる。将棋界のレベルがさらに上がっていくことを楽しみにしている」と杉本さんは言う。  

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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