saikyouno.jpg「いろ葉の介護は365日が宝探し」が副題。20年前に鹿児島市で「宅老所いろ葉」を立ち上げ、現在は介護を中心にした様々な事業を営む。ここまで一人ひとりの人生の最期に寄り添い、そのイキカタ」を支えようとする努力と熱意に驚き、感動する。

このような様々な施設が、「管理型」になる事は否めない。どの組織でも「安全と安心」をしっかり行うためには、「ルール」「管理型」になる。ところが、この若者中心の介護集団は全く反対のことに挑戦する。お年寄りは今、「起きたいと思っているのか寝たいと思っているのか」「何を食べたいと思っているか」「お風呂に毎日にでも入りたい」「施設の外に出たい。自然に触れたい。家に帰りたい」「おむつは嫌と思っている」。一人ひとりがみな違う。「お年寄りたちは、100人いれば、100通りの人生を歩んできて、私たちと出会い、私たちの目の前におられます。全員の方が一人ひとり、自分の人生というストーリーを生きてこられた。唯一無二のストーリーがあり、今がある」と、人生のストーリーを尊重しようとする介護を行おうとするのだ。読んでいくと、介護に限らず、ルールを押し付け、相手の本当の気持ちに寄り添っていない自分に気づく。この「いろ葉」では、介護においてだけでなく、「いろ葉流・仕事の流儀」「人材確保と職員研修」「みんな違うから個性が輝く」など、職員育成についてもまさに桜梅桃李。相手に寄り添ってチームを作ろうとしている。それが「最強のケアチーム」だ。

いろ葉はどういうことを目指すのか。3つのイキカタを語っている。「『生き方』を支える」――。お年寄りの残された時間、お年寄りたちの「生ききる」を支えるのが私たちの介護の仕事。「家族への想いと思い出」「夫婦に残された時間」「お父さん、死んだのか!」「憧れのプロ野球観戦」・・・・・・。それにどこまでもつきそう姿がすごい。

第二は「『活き方』を支える」――。「畳部屋に車椅子は似合わない」「安心できる睡眠環境、いちばん落ち着く姿勢と場所」「食べることの支援では、口へのアプローチで生き返る」。お年寄りの体をよく見ると、「まだまだやれることがたくさんあることに気づく」と言い、それをたくさん見つけることも、「活き方」を支える大切なアプローチだと言う。

3は「『逝き方』を支える」だ。「家族とのハイタッチ」「帰りたい、家とは」「妻の介護をしていた旦那さんが先になくなって。愛する妻に抱かれて逝く旦那さん」3つの「イキカタ」を紐ときながら支えるのが、いろ葉の介護だと言っている。

職員にオムツをつけての一泊旅行をして実感してみたり、家に帰りたいという死期の迫った入所者を乗せるために中古の救急車を買ったり、施設で誰かがなくなれば、みんなで風呂を沸かして家族と一緒にお清めして全員で見送ったり。そんな驚くべき挑戦が行われている。できているのだ。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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