nihonnjin.jpg1960年の断層」が副題。日本には1960年の大断層があって、今の日本人を大きく2つに分けている。1950年代に生まれた人と、1960年以降に生まれた人は、様々な局面で異なる光景を見、別の体験をしてきた――。食卓を中心に、日本人の家族を見つめ続けてきた著者が、「1960年の断層」として、35の視点を明らかにする。確かにと思う。従来から言われてきた世代論とは違う徹底した調査・研究の結果だ。

「自宅か両親の実家でお産をする。それが1960年が転換点となり、病院等施設の出産が増えていく」「1960(昭和35)のお母さんは、戦後の新教育世代」「憧れの住まいは、ステンレスの流し台、水洗トイレの団地ブーム」「生まれた赤ちゃんは1950年に234万人、1960年に161万人、子供2人の方向へ」「見合い結婚よりも恋愛結婚へ」「サラリーマン家庭の多くが父親不在の母子中心家庭」「1960年型は余暇生活を楽しむことを肯定的に捉える親を持ち、ファミリーレジャー時代の始まり」「生まれた時からテレビっ子」「幼稚園がほとんど義務教育のように」「生まれた時から、インスタント食品(1960年はインスタント食品元年)」「肉と油脂とパン食へ 日本の食が大転換」「手伝いはしないが、バイトはする(山田太郎の『新聞少年』のヒットは65)」「共通一次試験は1979(1960年生まれの子供たち)」「家庭内暴力は1960年生まれの子供たちが受験期を迎えた70年代後半から」「70年代後半に青年の漫画ブーム」「70年代後半にオカルト、青年の新宗教ブーム」「地下鉄サリン事件(95)のオウム真理教幹部は6065年生まれが多い」

確かに1960年の断層。断層の前と後では、基本的な体験が違う。同じ言葉を使っていても、意味や背景の価値観にはズレがあると言う。「自由でも60年型は『何もしなくていいフリーな状態』を想像し、それ以前の旧型は『やりたいことが何でもできる自由』をイメージする」と指摘する。10年前に本書ができたときに「60年型はすでに日本人全体の約6割を占める」と指摘しているが、今や「60年型の感覚と価値観が物事を動かす時代になっている」と言えるだろう。昭和20年代生まれの団塊の世代などがまだまだ多いことが、大事なことかもしれない。60年以前生まれの「旧型」が頑迷固陋にならなければの話だが。国際的に「日本人の劣化」「我慢強くやる力、難問を乗り越える力、共感する能力という非認知能力が落ちている」と懸念されているようだが、「本質的に粘り強く考える力」を意識的に鍛えあげなければならない時だろう。特に政治家は主力が1960年以降生まれになっただけに。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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