20120313【私の読書録】なぜかすべてがうまくいかないと思った時に読む本.jpgのサムネイル画像この"一億総うつ病化社会"。

「上司に怒られる。怒られてばかり」「トラブルが続く。心に余裕がなくなる。心が限界になるほど疲れる」――そんな時どうする。「抑うつ状態は強い悲しみや不安、失望感のため、すべてに興味がなくなり、無気力になる精神状態」だが、さてどうする。

人には思考のクセがある。考え方を変える、思考グセを変えない限り、いくら薬を飲んでも治らない。ニーチェは「この世に絶対的な真実などはない、あるのは解釈だ」といっている。その通り、事象をどう解釈するかだ。

意外とわからない自分のこと――それを整理してみたらどうか。
精神科医の田中さんは心に溜まったストレスと上手に付き合う方法を示す。治ってもそれは「治癒」ではなく、「寛解」(病気の症状がほとんどなくなったが、完全に治癒したわけではない状態)。再発・長期化させないよう発想を変えることだ。

早めに対応。しかし焦りは禁物。田中さんは「心のストレス超整理術」を具体的に示してくれる。


20120309日本の文脈-表紙2.jpg見える世界、有限の世界、経済における労働価値説、効用価値説などに閉じ込められた世界を、「宗教とは何か」「生産とは何か」「労働とは何か」といった現象の背後にある不可視の摂理の世界、無限の世界から見る。「労働と報酬が正確に数値的に相関したら、人間は働きませんよ」として、「贈与」というキーワードを提示する。予見できない報酬、報恩、感謝、使命、そこに噴出する歓喜。それを生み出す師弟、さらに農業の根っこには贈与がある(恵み)――二人の対談は次々と展開し、飛ぶ。

また、「東洋的な学びがめざしているのは『正解』ではなく『成熟』と思う。正解は即答を理想とするが、成熟は回答を求めない。長い時間をかけて、自分が置かれている文脈が変わり、自分のからだも変わり、それまで見えていたものが見えなくなり・・・・・・。その変化を思い知ることが知的な成熟という東洋的な考え方」などとも語る。

内田樹さんの近著「呪いの時代」も柔らかで刺激的だ。現代ネット社会は記号的に、抽象的に自己肥大化と自尊感情をもつ人間を異常増殖させ、破壊行動をもつ、他者を傷つける人間が英雄視される。

「適切な自己評価を受け容れること。妄想的に構築された『ほんとうの私』に主体の座を明け渡さず、生身の具体的な生活のうちに深く捉えられた、あまりパッとしない『正味の自分』をこそ主体としてあくまで維持し続けること」が喫緊の議題だと指摘している。「荒ぶる神・原発」を鎮める、金だけですべての人間が動くわけではない――など、3・11以後両著の主張は当然ながら重なる。


こうすれば日本はよくなる.jpgのサムネイル画像デフレ下で閉塞感漂う日本。あきらめるばかりか、いやそれが課題先進国・日本だなどという者まで出てくる。今の時点でいうならば、敗北主義である。

国家の経営やマクロ経済では、大きく俯瞰して物事を見て手を打つ、それも重要。しかし、各分野、各団体、各企業において「あれをやれば...」ということは多い。突破できるのに決めることができず、前へ進むということができない。それが閉塞感を絶望に変える。

江口さんは反撃を試みる。かねてからの「地域主権型道州制」はその柱だ。そして、「贈与税・相続税を非課税にして若年層に資産移転を」などの税制。「切符一枚につき10円を加算して各駅に保育所を。学校バウチャー制度、医療や介護の規制緩和」などの暮らしの安心。「必要な道路の建設や基地島の建設を」などの社会インフラの再構築――こうしたきわめて具体的な15の政策提案をする。めざすは「富国有徳国家」であり、成長戦略だ。随所に、現民主義政権の迷走ぶり、政策の誤りの指摘がされている。視野は全方位にわたっているし、意欲が伝わってくる。


女性社員に支持されるできる上司の働き方.jpg女性が働く時代。M字カーブを克服することをはじめ、ますます女性が活躍する時代。「働く女性の本音」を知る藤井さんの著作。

「集団でとくに目立つのは、縦社会のルールに従う男性と、情報ネットワークで横につながる女性の違い」「女性は知っていることをみんなに伝えたい。共感してもらいたい。平等性と共感性をとくに大事にする」「上から目線や一方的な指示をとにかく嫌う」「聞き上手で論理的に話のできる上司を望む」「女性のアイデアを実現させること」「清潔がより大切」「女性は男性よりも、人生で悲しみを感ずる割合が割多い」

――ワークライフバランスが大切な時代、男性中心の縦社会からの脱却の書。男性は煩悩即菩提、女性は生死即涅槃。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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