歴史認識を問い直す.JPG「靖国、慰安婦、領土問題」と副題にある。以前の「日本の領土問題――北方四島、竹島、尖閣諸島」(保阪正康 東郷和彦)と「戦後日本が失ったもの――風景・人間・国家」(東郷和彦)の二つの著作が背景にある。「2012年は日本外交敗北の年」「左からの平和ボケと右からの平和ボケと決別を」「慰安婦問題に対する対外発信の誤り(鋭敏なアンテナの必要性)」「世界をリードする、開かれた、新しい日本文明の思想を」――など、重層的に問題を剔抉し、解決の方途を提起する。

相手が何に基づき、何を考えているか。「靖国と村山談話」「河野談話と慰安婦問題」を丁寧に解き明かす。根本的には、新しい日本の国家ビジョン、日本人と現代文明という深層から迫ることができるか否か――提起されている課題は表相ではない。


謎だらけの日本語.jpg最近、日本語の変化と正しい日本語、その意味するところや起源を解説する本や報道(番組)が多いように思う。

「オートバイ、二輪なのになぜ"単車"」「"大統領"の語源は大工の棟梁か」「"紅葉"と書いてなぜ"もみじ"?」がいきなり出てくる。そして「"奄美諸島"はもう存在しません」「存在しない青山一丁目」「墨田川と隅田川」「朝三暮四と朝令暮改」「"怒り心頭"の頭は"そば、あたり"を表す(達するものではなく発する)」「"オリンピック"を"五輪"と表記したのは誰?」......。

「『"全然"は本来否定を伴うべき副詞である』は"迷信"」――明治・大正期は「すべて」「すっかり」と肯定的表現にも用いられていたが、とくに昭和20年代後半に"否定"が広まったという。「"全然"は"荘子"にも見られる古くある言葉で必ず否定と呼応するわけではなかった」と解説している。


カネを積まれても使いたくない日本語.png「政治家の言葉はこうして一章作れるほどヘンなのである。そして国民は、政治家の言葉と力が日本という国の行く末に重なると思っている。国を任され、国の命運を握る政治家の責務は大きい」「若者の新語・造語の増殖と、広がる速さはすさまじい。昨日流行した言葉が、今日は古典となるほどだ」――。

「汗をかく」「雑巾がけ」「遺憾」「しっかり、きっちり」「緊迫をする、設置をする、来日をする......などの『を』」「お伝え、お訴えの『お』」「~してござます」「認識しております、把握しております」「緊張感をもって、スピード感をもって」「重く受けとめる」「不退転の覚悟」「~させて頂く」「断定回避の『~というふうに』『感じ』」「政治家同士の"先生"」など、とにかく変、そして多い。言葉が違うということは、その社会と文化が違うということだ。とても笑ってはすまされない。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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