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土曜特集/「観光立国」20年、成果と課題

2023年5月27日

国連世界観光機関駐日事務所代表、観光庁初代長官 本保芳明氏に聞く

 2003年に政府が「観光立国」を宣言して20年【年表参照】。これまでの取り組みは訪日外国人(インバウンド)の増加をはじめ大きな成果を上げてきた。コロナ禍で後退したものの観光政策は今後も重要な成長分野である。この20年間の観光政策と今後の課題などについて、観光庁の初代長官で、現在は国連世界観光機関(UNWTO)の駐日事務所代表を務める本保芳明氏に聞いた。

年表2.jpg03年「宣言」が大きな転機に/訪日客増へ政府挙げて推進

 ――03年の「観光立国」宣言当時の状況は。

 本保芳明・国連世界観光機関駐日事務所代表 03年は日本の「観光立国元年」だ。政府を挙げて観光を政策の柱にするとした大きな転機となった年である。

 それまでも政府として観光政策に取り組んでいたが、政府全体で取り組むという体制ではなかった。

 この年からビジット・ジャパン・キャンペーンという形で、インバウンドへのプロモーション(宣伝)がスタートし、それが今日の観光立国の基礎をつくっているといってもよい。

 さらに、06年に観光立国推進基本法が成立、07年に同法に基づいた観光立国推進基本計画が閣議決定された。そして、08年に観光庁が発足し、観光政策の政府の司令塔となり、政府全体で観光政策を推進する体制が整った。

 ――なぜ観光政策を政府全体で取り組むことになったのか。

 本保 伸びしろのある成長分野だったからだ。観光で稼ぐという発想はあまりない時代。実際、当時の人口約1億2000万人の日本においてインバウンドは600万人前後。人口約6000万人のフランスのインバウンドは年間約8000万人だった。

 日本はフランスと同様に外国人から見て魅力的な観光資源が豊富にある。外国人の識者からも「今すぐに観光政策に取り組めば、あすからでもインバウンドは増える」と言われたくらいだ。実際、日本は他の先進国と比べても観光に割いている予算は圧倒的に少なかった。

 ――自公両党が12年末に政権復帰した後、13年にインバウンドは1000万人を突破した【グラフ参照】。

年表1.jpg 本保 再び誕生した自公政権は、観光に力を入れる方針をより明確にした。インバウンドの目標を年間2000万人に設定し、直後の13年のインバウンドは1000万人を達成した。この時、観光担当だった太田昭宏国土交通相(公明党)が率先して自ら動いて、この目標達成に突き進んだ。心から感謝し、評価している。インバウンド1000万人達成により、首相以下、関係閣僚で観光立国を前に進めるという大きな推進力を得たと思っている。

ビザ緩和、予算拡充など効果/産業としての地位、劇的向上

 ――インバウンドは、その後も増え続けて16年には2000万人、18年には3000万人を突破した。効果があった政策は。

 本保 一番効果があったのは外国人が日本に入国するためのビザ(査証)の発給要件の緩和だ。さまざまな懸念の声がある中で、これを突破したのは大きい。

 二つ目は予算措置の拡充だ。観光庁発足当時の予算は約60億円だったが、今や当初予算だけで約315億円で、前年度補正予算約1500億円も活用できる。やはり物資がなければ世界とは競争できない。3番目は、予算措置の安定財源としての国際観光旅客税を創設(19年)したことだ。これを財源に観光資源を整備することになった。

 これらの政策と、海外での日本のプロモーション活動を長年続けてきた成果が相まって爆発的にインバウンドが増えた。

 ――観光について20年間の変化をどう見るか。

 本保 観光の地位が劇的に向上した20年だった。観光関係者が20年前にほぼ口をそろえて「一生懸命、日本の一員として観光業に従事しているが、観光の社会的地位が非常に低い」と述べていた。だが、20年たって観光が持つ地域における社会経済的な意義、必要性、これが広く理解されて、国でも大きな予算が付くようになった。

 ――コロナ禍ではインバウンドも激減し観光業は窮地に立たされた。世界的にも観光はピンチだった。

 本保 コロナ禍で国内のみならず世界中の観光業が壊滅的な打撃を受けた。その中でいかにして、観光産業を維持して、次のステップに立ち上がっていくかが重要だった。コロナはいずれ終わる。改めて成長軌道に乗る時に、どう備えるかということが大きな課題だった。

 そのため、日本のみならず世界各国とも、コロナの期間中に観光産業への支援策をとっていた。

 日本では、観光産業の雇用を維持し「Go Toキャンペーン」「全国旅行支援」という形で支援した。全体で約2兆7000億の金額を投じていると思うが、これが大きな意味を持った。

 観光産業を維持し、そのことによって地域経済にお金を回した。昨年後半からは国内観光が立ち直り、インバウンドも回復してきているが、もしコロナ禍で支援がなかったら、観光産業で働く人は今以上にもっと離れているし、倒産も含めて痛手が大きく、立ち直りも困難だったと思う。

持続可能性を、どう高めるか

 ――今後の観光について、政府は3月に第4次観光推進計画を発表した。「持続可能な観光地域づくり」「消費額拡大」「地方誘客促進」の三つが柱だ。

 本保 今回、政府が柱の一つに掲げている「持続可能性」は、われわれUNWTOが推進している観光政策の中心テーマだ。

 経済・社会・環境がバランスを取って発展しなければ、どこかにゆがみができてしまう。例えば、観光で地域住民の生活が被害を受けてしまえば、経済的に順調に伸びていたとしても、地域住民の反発で、これ以上の取り組みができないとの事態になることもある。

 やはり、バランスを取って観光が発展していかないと、結局、中長期的には全員が損をする。今回、日本政府がそのことを全面に取り上げて、本格的な政策の柱にしたことは非常に評価する。

 今後は、観光は誰のためにあるのかが問われる時代になる。観光の原点は「住んでよし、訪れてよし」の国づくりだった。ここしばらくは数値目標もあって訪れてよしに傾き過ぎていた。オーバーツーリズム(観光公害)など社会的な問題を引き起こし、批判を招いた。世界ではこの問題に真剣に取り組みを始めている。そこに政府として再スタートしたのは良いことだ。

 あとは地域の産業界を巻き込んだ観光政策が重要だ。今、注目されているのは、DMO(観光地域づくり法人)だ。DMOは、官民の幅広い連携によって観光地域づくりを推進する法人だ。持続可能な観光産業を育成するには、やはり地域の協力が欠かせない。観光庁も、ここに力を入れている。地域住民と共に観光を考える時代だ。

 ほんぽ・よしあき 1949年生まれ。74年、東京工業大学大学院修了、運輸省に入省。国土交通省大臣官房審議官などを経て2008年に観光庁の初代長官に就任。16年より現職。

結党60年へ党勢拡大

2023年5月24日

東北復興選挙の全員当選も
大光会が全国県代表世話人協議会

公明党の議員経験者で構成される「大光会」(代表世話人=太田昭宏常任顧問)は23日、東京都新宿区の公明会館と全国をオンラインで結んで全国県代表世話人協議会を開催し、来年の結党60年をめざし、議員OB・OGが党勢拡大に取り組むことを確認した。

この中で公明党の山口那津男代表は、統一地方選における大光会メンバーの奮闘に敬意を表明。さらなる支持拡大に向け、議員が率先して日常的な街頭演説や交流サイト(SNS)の活用に力を注ぐとともに、今回初当選した新人議員を含めた全議員が「『大衆とともに』の立党精神を体現していく」と訴えた。

太田代表世話人は、議員として仕事をさせてもらえた支持者への感謝を忘れず「大事なとき、大変なときこそ率先して拡大に動き、党を守る。この精神で大光会は頑張っていこう」と呼び掛けた。

このほか石橋信勝東北方面代表世話人が、7月から始まる岩手、宮城、福島3県の「東北復興選挙」をアピール。「復興を加速させるためにも、何としても全員当選を果たす」と決意を述べた。

「現場に強い政治」貫く

2023年5月19日

生活の安定こそ平和の基礎
沖縄のセミナーで太田常任顧問

 公明党沖縄県本部(代表=上原章県議)は15日、那覇市で政経文化セミナーを開催した。太田昭宏党常任顧問が出席し、「沖縄の庶民が抱える悩みを解決するため、公明党は『現場』に強い政治姿勢を貫き、結果を出していく」と訴えた。

これには、金城泰邦衆院議員、窪田哲也参院議員(共に党沖縄方面副本部長)が出席し、あいさつした。

太田氏は、15日が沖縄の本土復帰の日に当たることに触れ、「少子高齢化をはじめ激しい変化に対応し、復帰51年のスタートから沖縄の発展を」と強調。また、「暮らしの安定こそ平和の礎であり、沖縄の島々に至るまで生活が守られることが重要だ」と述べ、バランスある安全保障政策の必要性を訴えた。

上原県代表は来年の県議選をはじめ次の政治決戦を見据え、党勢拡大に全力を尽くす決意を述べた。このほか知念覚・那覇市長らが来賓としてあいさつした。

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