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LRT(次世代型路面電車) 再エネ100%で走り出す
脱炭素社会めざして/栃木県(宇都宮市、芳賀町)
栃木県で26日開業した次世代型路面電車(LRT)は、宇都宮市中心部のJR宇都宮駅東口と芳賀・高根沢工業団地(芳賀町)の14.6キロを結び【地図参照】、地域住民の足として喜びと期待を乗せて走り出した。その大きな特長は、運行に必要な電力を100%地域由来の再生可能エネルギー(再エネ)で賄う、環境に優しい乗り物という点だ。さらに、車の利用が減ることで二酸化炭素(CO2)の排出量削減にもつながる。
■電力供給源は廃棄物発電と太陽光発電
電気モーターで走行するLRTへの電力供給源は、宇都宮市のごみ処理施設「クリーンパーク茂原」での廃棄物発電と、家庭や民間企業による太陽光発電だ。市と民間企業が出資する地域新電力会社「宇都宮ライトパワー株式会社」が、家庭ごみの焼却で発生する熱を活用した廃棄物発電と、太陽光発電で得られた再エネを買い取り、LRTの電力に充てている。
LRTの運行や車両基地、停留所などの維持に利用する年間使用電力量を市は約4200メガワット時と試算。その100%をクリーンな再エネで賄う。
また、LRTの走行に必要な電力を再エネ化したことにより、年間約1877トンのCO2排出量を削減。さらに、車からLRTへの移動手段移行を通じ、年間約7000トンのCO2排出量を減らせる想定となっている。
■30年前半に運行区間拡大へ
市によると、2030年代前半をめざし、LRTをJR宇都宮駅西口側へ延伸させる計画。JR宇都宮駅を中心に東西の公共交通網を再エネ100%利用のLRTで充実させることを通じ、さらなるCO2排出量削減を見込む。26日の開業式典で佐藤栄一・宇都宮市長は「再エネ100%で走行するLRTは『ゼロカーボントランスポート』であり、脱炭素社会の実現にも寄与する」と語った。
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宇都宮市は、東西の基幹公共交通としてのLRT新設や、公共施設や交通網を集約させる「コンパクトシティー」のまちづくりと合わせ、16年からLRT整備を軸にした脱炭素化の推進を市政の重要テーマの一つに位置付けた。21年に地域新電力会社を設立したほか、22年には「カーボンニュートラルロードマップ」を作成し、50年の脱炭素化実現に向けて市民、事業者、行政が一体で、太陽光発電をはじめとする再エネ設備の導入や事業用車両の電気自動車への転換など、CO2削減を進めてきた。
市議会公明党議員会(金沢力会長)は13年3月定例会で、LRT整備で車の交通量を減らし、CO2の排出削減を加速させることを強調するなど、会派を挙げて主張してきた。また、山口恒夫、野沢和一の両県議が県でも強力に推進。県知事らと共に、国土交通相へ度重ねて要望書を提出するなど一貫してリードしてきた。
LRT開業、初の全線新設
構想から30年「ライトレール」/宇都宮市での式典に太田常任顧問、輿水氏ら参加
次世代型路面電車(LRT)で宇都宮市中心部のJR宇都宮駅東口と芳賀・高根沢工業団地(栃木県芳賀町)間の14・6キロを約44分で結ぶ「宇都宮芳賀ライトレール線」が26日、開業した。全線新設は全国で初めて。構想から約30年を経て実現した。
開業式には、公明党の太田昭宏常任顧問、輿水恵一・栃木県本部議長(衆院議員)、山口良治青年局次長、地元県・市議が参加し、石井啓一幹事長と斉藤鉄夫国土交通相(公明党)が祝電を送った。
LRTの車両「ライトライン」は3両編成で定員160人。振動や騒音が少なく、車いすやベビーカーでも乗降しやすい低床式だ。交通渋滞の緩和のほか、電力に地域由来の再生可能エネルギーを活用することで、脱炭素化への寄与が期待される。
式典で宇都宮市の佐藤栄一市長は「LRTを最大限に活用し、全国の地方都市のモデルとなるよう、持続的に発展できるまちづくりに取り組んでいく」と語った。
輿水県議長は「地域の喜びと期待にあふれる開業だ。LRTが栃木全体の発展につながるよう、今後も取り組みを後押ししていきたい」と語った。
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