活動ニュースNEWS

賃上げに膨らむ期待

2013年5月 9日

20130509 労務単価.jpg公共工事労務単価が大幅アップ
疲弊する建設業に一石
太田国交相が主導、公明党も後押し

建設現場で働く職人の賃金引き上げに向け、建設業団体や地方自治体が動き始めた。4月25日には大手建設会社でつくる日本建設業連合会(日建連)が職人の賃上げ対策を発表。国土交通省が公共工事の積算に用いる「公共工事設計労務単価」を今年度から全国平均15.1%増(前年度比)の過去最大幅で引き上げた上で、太田昭宏国交相(公明党)が日建連など建設業4団体のトップに職人の賃上げを直接要請し、一石を投じた。

建設産業は近年、建設投資の縮小に伴うダンピング(過度な安値受注)の横行で疲弊し、建設労働者に低賃金や社会保険未加入のしわ寄せが及んできた。それに拍車を掛けたのが、民主党政権の「コンクリートから人へ」という根拠のない公共事業削減方針だった。

低賃金で若者の建設業界離れも進み、この20年間で就業者数は19%減少。被災地では復興需要に職人が足りず、人件費高騰などで施工者が決まらない「入札不調」が相次いでいた。

自公連立政権が復興加速と防災・減災対策を重要政策に据える中、太田国交相は、職人の労働需給が逼迫する構造問題の打開に着手した。職人の賃上げと社会保険の加入促進を見込んだ労務単価の大幅引き上げに加え、建設業団体に対し、適切な賃金支払いなどを直談判。また、地方の公共工事を発注する都道府県に対しても、前年度の労務単価で予定価格を積算した工事も4月1日以降に契約する場合は「新単価」を適用する、という国と同じ特例措置の実施などを求めていた。

太田国交相に連動し、東京都議会公明党は4月19日、都が発注する公共工事に関して国の動向を踏まえた対応を求める猪瀬直樹知事宛ての申し入れを実施。都は同30日、労務単価の大幅引き上げとともに、4月1日以降の契約に新単価を適用する特例措置の実施を発表した。

国交省のまとめでは今月7日現在、全都道府県で新労務単価を適用し、特例措置の実施も45都道府県に広がっている。

業界の自助努力や、民間発注工事への波及などを通じ、職人の給料が実際に増える日が待ち望まれているが、建設産業全体の再建も急務だ。公明党は、引き続き団体ヒアリングなどを重ね、若手入職者の確保策、入札制度改善などの議論を深めていく。

職人の評価高める"元年"に
建設産業専門団体連合会 才賀 清二郎 会長


公共工事設計労務単価が引き上げられ、現状に見合った見直しが行われたことに対して感謝申し上げたい。将来を担う人材を育成する上での課題の一つは給料の引き上げ。低賃金で重労働のイメージだけが付きまとい、若者が集まりにくい状態が長年続いていた。

建設業は国の基幹産業で、インフラ(社会基盤)の整備に欠かせない。しかし、屋外での厳しい環境で働き、「命の危険」がある人たちに対する評価が低かった。今回の労務単価引き上げを一過性にせず、長期的視野に立った対策も考えていくべきだ。また工期にかかわらず、国民生活の安全・安心を守るために継続した事業展開ができるような環境整備を期待している。

また太田昭宏国土交通相が今年を「メンテナンス元年」と称したが、厳しい経営環境に直面した職人の評価を高める"元年"にもしてほしい。

facebook

Twitter

Youtube

トップへ戻る