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「現場で働く技能労働者の賃金上昇につなげる」──。1月30日の閣議後の記者会見で、公共工事の労務単価引き上げ(全国平均4.2%、被災地6.3%)を発表しました。引き上げは、私が国交大臣就任以来3年連続です。建設業の現場で働く担い手を育成・確保していくためには、処遇の改善が何より大事。労務単価もかつての水準までは戻っていないため、さらなる賃金上昇につなげていかないといけません。社会保険加入の促進や休暇が取れる環境づくりなども含め、一層の処遇改善を進めていきます。


今、日本で大事なこと――それは、ものづくり人材、整備士、建設業や運送業、電力などの担い手の育成・確保です。私は現場で汗を流して働く人が尊ばれる社会にしなければならないと思っています。


また1月31日は、仙台市で第5回目となる「復興加速化会議」を開催しました。この会議は私が2年前から始め、1年に2度のペースで開催。村井嘉浩宮城県知事、奥山恵美子仙台市長、岩手・福島両県の責任者など被災地自治体の代表者、建設業をはじめとする関係団体の代表者から、現場の声を直接聞いて、入札不調の改善や資材・人材不足などに対してこれまで次々と手を打ってきました。


被災地では、常磐自動車道が3月1日に全線開通することが決定するなど、道路や鉄道の基幹インフラは復旧が着実に進んでいます。さらに復興の実感のためには、住宅再建・まちづくりを一層加速化させなければなりません。災害公営住宅の建設はおおむね工程表どおりに進み、3月末までに1万戸が完成予定ですが、少しでも早く多くの住宅が完成するよう一層のスピードアップが必要です。


会議では、「3年連続で労務単価を引き上げていただき大変ありがたい。現場の最前線で働く人の仕事をしっかり評価していただいた」「これまでの対策の効果で入札不調は改善している。積み残しはない」「人や資材の状況も落ち着いており、受注した仕事は着実にこなしている」「業界の要望を踏まえてクレーン不足への対策を打っていただいた」「学校や病院などの建築分野でも前回の会議で対策が取られた結果、入札不調が改善された。支援がありがたい」など、現場からの発言が続きました。


震災発生からまもなく4年。3月14日からは仙台市で国連防災世界会議の開催も予定されています。復興はいよいよ山場。復興をさらに実感していただけるよう、さらにこの流れを加速したいと決意しました。

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「他人を攻撃せずにはいられない人」に続いての著作。誰でも「プライドが高くて迷惑な人」になりうる。「かつては、家庭、学校、社会の中で、自己愛的イメージを徐々に断念させて、現実の自分を受け入れさせる、つまり"身の程を知る"ようにさせるシステムが働いていた。・・・・・・ところが、いまやそれが機能しなくなりつつある」「結局のところ、"経験によって強化された全能感"もしくは"対象リビドーの満足"を大人になってから持てるように、経験を積み重ねたり、良好な人間関係を築いたりすることができるかどうかにつきる。・・・・・・今いる場所で、地道な努力を続けて自然に認められるようになるのが、"プライドが高くて迷惑な人"にならないための最善の方法なのである」という。


現状を受け容れるには、時間も経験もいる。「暴走○○」などとよく言われるストレス社会・・・・・・。仏法では「諦めるは、諦観(明らかに観る)」と説くが、これも相当の修行がいる。


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「深代惇郎と新聞の時代」と副題にある。「天声人語」執筆者の伝説のコラムニスト・深代惇郎を描くとともに、その仲間たち、先輩・後輩のなかに横溢するジャーナリストの魂を描き出している。力ある言葉の紡ぎ手は、心のなかにどれだけの蓄えをもっているかによることを感じさせる。


「深代惇郎にあった特徴のひとつは目線の低さである。権力や権威というものに伏する志向はまるでなかったし、地位や肩書きというもので人を見ることもなかった」「深代はファナティックなものを嫌い、排した。均衡を測ることにおいて精巧なセンサーを体内に宿していた」「深代は、モノを至上とする"進歩史観"への深刻な懐疑主義者であった」「リベラル、柔らかい視線、バランス感覚、正義感、博学多識、ウィット・・・・・・。深い眼差しをもったヒューマニスト像が浮かんでくる」「人と会うこと、本を読むこと、深く考察すること・・・・・・。聞き、話し、感じる。それを文に生かす」「世の中に名文家と呼ばれる人は幾人もいた・・・・・・(深代は)その背後に人生論的なフィロソフィーがあった。人間のもつ深い情感というか、存在の哀しみというのか、天人にもその種のものがどこかに込められていた」・・・・・・。また天声人語を継いだ辰濃和男について「彼は常に弱者、恵まれない人、運の悪い人、死者に温かい眼をむける。おごりたかぶった権力者が嫌いで、この道一筋、地道に、黙々とがんばる人たちに声援を送る」という松山幸雄の言葉も付け加えられている。


「天声人語」は「天に声あり、人をして語らしむ」だ。深代惇郎は自ら「この欄を、人を導く『天の声』であるべしといわれる方がいるが本意ではない。民の声を天の声とせよ、というのが先人の心であったが、その至らざるの嘆きはつきない」と書いている。私がよく使う「民の欲する所 天必ず是れに従う」という言葉に通じよう。


それにしても、そうした心の蓄えから発せられた言葉。三島由紀夫の割腹自殺、田中内閣を怒らせた"架空閣議"、「なんという残酷な社会だろう。親に『謝罪のことば』をいわせ、カメラの前で頭を下げさせる・・・・・・」という痛烈なマスコミ批判・・・・・・。深代惇郎が投げたのは常に選び抜かれた直球だったと思う。


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「公衆衛生学から見た不況対策」という副題がついている。著者は公衆衛生学・政治社会学のオックスフォード大学教授と同大学の疫学者。


テーマとしているのは不況下において、財政緊縮策か財政刺激策のどちらがいいか。その選択はどのような影響を健康に及ぼすか、ということだ。それを膨大な実証研究によって示している。


1930年代の米国のニューディール政策からソ連崩壊と市場経済移行後のロシアとベラルーシ、さらに昨今のリーマンショック後のアイスランドとギリシャ、そしてイギリスのキャメロン政権やオバマ政権の対応等を検証する。


結論は「不況下での緊縮財政は景気にも健康にも有害」ということだ。「不況時には財政赤字と債務増加の悪循環を招くから緊縮財政を」というエコノミストやIMFのいう通りにして、公共住宅予算や医療費を削減、失業対策費などの削減を行った国は、社会は混乱、病気や自殺も増える。逆にそれを保持する努力をして社会政策を拡充した国は、健康も社会も経済も財政も回復する、としている。


不況下での政策決定は「緊縮政策から距離を置き、もっと健康的なボディ・エコノミックを目指すべきだ」という。そしてその柱とすべきは「有害な方法は決してとらない」「人々を職場に戻す」「公衆衛生に投資する」の3つだと指摘する。「どの社会でも、最も大事な資源はその構成員、つまり人間である。したがって健康への投資は、好況時においては賢い選択であり、不況時には緊急かつ不可欠な選択となる」と結んでいる。


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1月20日、閣議後の記者会見で3つの重要な発表を行いました。いずれも長い間の努力がかたちとして現れたものです。


まず、昨年1年間の訪日外国人旅行者数が1341万人になりました。一昨年に史上初めて1000万人を突破しましたが、昨年はさらに29%増という驚異的な成果です。「2020年に2000万人」という目標がいよいよ現実味を帯びてきました。今年も円安の継続や免税制度の拡充などで好調が持続し、1500万人を超えることが期待されます。夕方には観光関係団体の賀詞交換会に出席し、さらなる観光推進に向けた決起大会ともいうべき雰囲気のなかで挨拶と懇談をしました。


2点目は首都高の中央環状線の全線開通。3月7日に大橋・大井間が開通し、全線開通することが決まりました。羽田空港へのアクセスや都心の混雑緩和に大きな効果がある画期的開通です。首都圏3環状道路のうち圏央道は、昨年6月28日に高尾山・相模原愛川間が開通して東名・中央道・関越道が一気につながったのに続き、今年3月から夏にかけて次々と開通予定。2015年度中に東北道、常磐道、さらには成田空港とつながることで、首都圏の人やモノの動きが大きく変わり、観光や物流の大きな起爆剤になります。


3点目は「新たなステージに対応した防災・減災対策」のとりまとめ。地震や津波に対しては最大クラスの想定で対策を進めていますが、豪雨や洪水では最大クラスを想定していなかったので、その対応の考え方をまとめたものです。「いまだ経験したことのない豪雨」に対して、命を守り、社会経済の壊滅的被害を回避することを基本に置くことにしました。そのためには、施設によるハード面だけでなく、とくにソフト対策が重要。避難勧告が出るまで待つのではなく、住民自らが主体的に判断し逃げるようにしていくことが必要です。情報提供のあり方やタイムラインの策定など、関係者と連携して、さらに具体化を進めます。


観光、首都圏の基盤整備、防災・減災対策をさらに力強く進めていきます。

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プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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