真実の10メートル手前.jpg米澤ミステリーの傑作「王とサーカス」は、フリーのジャーナリストの太刀洗万智が、記者に内在する「知る」「伝える」ということの宿命的苦悩を抱えつつ真正直に突き進む姿勢に心の共鳴盤が震えた。

本書はいずれも、その太刀洗万智が、苦悩を抱きつつ事件の真相に迫っていく6編。それぞれ全く異なった事件、異なる切り口、よくぞここまでと感心する。「真実の10メートル手前」「正義漢」「恋累心中」「名を刻む死」「ナイフを失われた思い出の中に」「綱渡りの成功例」――。太刀洗万智は浅薄なジャーナリズムに流されることを厳に戒めつつ、全く違った角度で事件に、被害者に、加害者のひきずる苦悩に、迫っていく。

太刀洗万智も作品も魅力的。


希望荘  宮部みゆき著  小学館.jpg「誰か」「名もなき毒」「ペテロの葬列」に続く、私立探偵・杉村三郎シリーズの第4弾。「聖域」「希望荘」「砂男」「二重身」の四編が収められている。

「砂男」は、妻の不倫で離婚し、義父の今多コンツェルンの仕事を失って故郷に帰った杉村三郎がある事件に遭遇。これが探偵事務所(なんと私の住んでいる東京北区所在)を開設するキッカケとなる。仲むつまじい巻田夫妻の夫・広樹が姿を消す――不可思議な事件。「希望荘」は、温厚な父が「昔、人を殺した」と信じられない告白をして亡くなったが、その真偽を調査してほしいという息子の依頼から始まる。四編とも面白い。後半に入って緊迫の急展開だが、人の善意、優しさ、温かさが伝わってくる。

どこにでもある庶民生活の日常のなかにも、人の心には狂気、猛獣がいる。どうしようもない、逃れられない宿命を背負わされて生きる。人間の抱え込む業、そして突如として噴出する不可解な行動。庶民の心に寄り添いつつ、粘り強く理詰めで事件を心の闇をはらすという解決に導いていく。


本木東 0716.jpg  さくら自治会0717.jpg

いよいよ夏の行事が始まりました。 16、17、18日の3連休、地元の北区、足立区では、子どもを交えての多彩な行事が行われました。町会・自治会の夏祭り、PTA・青少年のイベント、納涼盆踊り等で賑わいました。

ご尽力をいただいている役員の皆さまに感謝です。

各会場で多くの方々に挨拶、懇談ができました。

鹿一 0717.jpg  豊島5-6 0717.jpg


神奈備.jpg神の山・御嶽山。二つ玉低気圧が近づき猛吹雪となる御嶽山に、冬装備もなく登る17歳の少年・芹沢潤。それを助けようと追う強力の松本孝。登場人物はこの二人だけ。しかもわずか1日の出来事を、すさまじい迫力で描く。

めざすは御獄の頂上。ただ神に会うため。「神様、どうしてぼくは生まれてきたんですか? だれにも、母にさえ愛されずに生きなければならないのはなぜですか?」と思いつめた絶望の青年・潤。意識が朦朧となるなか、煩悶、回想、夢想が続く。

ただ一つの楽しみである自転車を愛する潤は、トゥール・ド・フランスのジャジャの最後の花道、「勝とうとする意思」を思ったり、やさしい祖父母を思い出したり、鬼のような母の呪縛に身震いしたりする。

神を信ずる潤、信じない孝だが、ともに大自然の懐に抱かれ帰る。極限状態のなかで人間と自然、生とは、神とは、業とは、死から生への三変土田の瞬間は何によってもたらされるのか――。死と隣りあわせの緊迫のなかで問いかける小説だ。

「御嶽の噴火によるすべての犠牲者、被災者、ご遺族、ご家族、そして、御嶽に関わって暮らすすべての方々に本書を捧げる」と扉にある。ご冥福を心よりお祈りする。


赤羽駅街頭 0715.jpg  視察 0715.jpg

15日、東京都知事選に立候補している増田ひろや候補と共に、北区・赤羽駅頭で街頭演説。その後、障がい者の就労継続支援B型事業所を増田さんと共に視察しました。これには自民党の高木けい都議、公明党の大松あきら都議、自公の区議団が参加しました。

東京の抱えている課題は今、山積。「相次いでの知事辞任による都政の立て直し」「子育て、医療・介護の強化策」「首都直下地震等への防災・減災の備え」「遅れている2020年東京オリンピック・パラリンピック成功への推進」など、「仕事のできる」知事が望まれています。

街頭演説で増田さんは「都政の混乱に終止符を打つ」「課題解決に全力をあげる」と訴えました。私は「東京の抱える課題は多いが、明確でもある。それを解決し、進めていく"確かな力""実務"行政能力が大切だ。ハデな人は今の東京には必要ない。仕事のできる人こそ必要だ」と増田さんへの支援を訴えました。

その後、障がい者就労継続支援B型事業所を訪問。私が以前からお付き合いしているしっかりとした施設で、このたび新たに開設した所です。障がい者支援の実情をつぶさに視察しました。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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