19日、東京・丸の内に開設された「NIPPON GALLERY TABIDO MARUNOUCHI」を視察しました。
これは凸版印刷が、日本における文化・歴史・伝統や芸術などのコンテンツを最新技術で映像化し、VR(バーチャルリアリティ:仮想現実)や高精細プロジェクションマッピング(8K)で体感できる施設。さらに、「旅道(TABIDO)」により観光客が旅先で、スマホやタブレットで簡単にVRの映像を楽しめるようになっており、世界に向けて日本の魅力を発信、観光立国の実現に貢献するというものです。巨大な8Kスクリーンは超高精細で美しく、大変な迫力でした。
私は国交大臣時代に観光立国を推進。大臣になる前まで800万人台だった訪日外国人観光客が、昨年は3119万人までになりましたが、日本各地の魅力をスマホやタブレットなどで簡単に体験できる時代に突入していること、さらなる高みをめざすため総合戦略の大切さを実感しました。
「AI時代に活きる幼児教育」が副題。AI・IoT・ロボットの急進展するこれからの社会。仕事がそれらに取って代わられる社会。その真っ只中で人生を送ることになる今の子どもたち。それではどういう幼児教育が大切となるのか。いまや切実な重要問題だ。
日本の幼児教育は「遊び保育」が主流であった。またその対極の"お受験"のためのペーパー問題を解かせる「教え込み教育」も台頭した。しかし、AI時代では特に、「考える力」「管理されなくても与えられた問題を解決できる自律した人間」「柔軟性があり論理的な頭脳をつくり上げる就学前の"教科前基礎教育"」「IQに代表される認知能力だけでなく、忍耐力、協調性、計画力、表現力、意欲、発想力、自己制御力といった非認知能力が重要」だという。
そして「幼児期の早い段階から子どもが自分で本を読むことはお勧めしない」「幼児期は"聴く力"を育み、子どものもつ想像力を膨らませる時期」「読み・書き・計算は小学校に入ってからの課題。考える力・思考力を育てるのが幼児教育」「文章題ができない子が多い。論理的に意味を把握できないからだ」と言い、「モンテッソーリ教育」「課題を見つけて、夢中になって行う集中現象を起こして能力を獲得する」「遠山啓の"原数学"――数学的思考を育てる」「KUNOメソッド」「思考力をつけるために必要な10の力――ものごとの特徴をつかむ、比較する、順序づける、全体と部分の関係など」「"聴く・話す"をもっと大事に」などを紹介する。
「学力よりも意欲の時代へ」「認知能力を育てる過程で非認知能力も育てる」「幼児期の考える力は、主体的に参加し仲間と考えながら課題を解決する"アクティブ・ラーニング"でしか育たない」――。これまでの「教え込み教育」「知識の豊富さ、記憶の量獲得の教育」では、AI時代に通用しない。Educationとはラテン語で「引き出す」という意味だという。
幕末の盛岡藩内――。京の都や江戸市中が、攘夷と開国、尊皇攘夷、勤皇だ佐幕だと激動するなか、盛岡藩では貧困と重税にあえぐ百姓が頻繁に一揆を起こしていた。藩財政の逼迫、一揆への弾圧、藩の重商主義対緊縮策の対立と反目、更なる不満の暴発と藩は揺れに揺れ、お家騒動を惹起した。百姓にも心を寄せた若き藩士・楢山茂太(後の佐渡)であったが、ペリー来航以来の日本の激動の渦に巻き込まれ、盛岡藩をカジ取りをする中心者に押し上げられていく。
官軍に抗する奥羽越列藩同盟。「列藩同盟の諸藩はいずれも尊皇の心をもっております。同盟するは、薩長の横暴に抗するため。薩長こそが奸臣、朝敵である」――。しかし、次第に切り崩され、盛岡藩は秋田の久保田藩に攻め込み、賊軍の汚名を着せられることになる。最も危惧した薩長が牛耳る世の濁流に飲み込まれ、その責任を楢山佐渡は一身に負うことになる。大罪人となって盛岡に護送された楢山佐渡を鞭打ちどころか、侍・民百姓は手を合わせ涙をもってその駕籠を迎えた。
「花は咲く 柳は萌ゆる春の夜に うつらぬものは武士の道」――辞世の句である。時は移ろっても武士の道は変わらぬと読めるが、「時は移ろっていくのに、なにゆえ武士は変わらぬであろうという厭世の気持ちを歌いました」と佐渡に言わせている。政を司る者の時代の先を観る眼、高潔な心、決定する覚悟。そして戊辰戦争とは何であったのかを楢山佐渡の生死の様をもって突き付けている。