「2025年に認知症700万人」「誰でも長生きすれば、認知症とつきあうことになる」「認知症というと医療やケアの問題だと思いがちだが、それは大事な要素ではあるが、もっと広いテーマ。法律や経済、情報化、コミュニケーション、家族など、社会全体の設計の問題。ATM、買い物、移動、交通、通信など全てにわたる」――。社会そのものを変える。認知症の人とそうでない人が別の世界に住んで暮らしている現状を変える。「まざっていく社会」になる。社会全体を認知症対応に"アップデート(更新)"する必要がでてきている。「認知症フレンドリー社会」は、漠然と"みんなにやさしい社会"というのではない。社会全体を認知症対応にアップデートするということだ、という。
「認知症フレンドリー社会」とは「認知症の人が高い意欲を持ち、自信を感じ、意味があると思える活動に貢献、参加できるとわかっている、そうした環境である(英国のアルツハイマー病協会の定義)」を示す。「認知症対処社会」ではなく、「認知症フレンドリー社会」だ。
最も進んでいる英国の認知症の課題に取り組む団体や企業を束ねるネットワーク「認知症アクション連盟(DAA)」が紹介される。プリマス市の活動、図書館やバス会社のヘルプカード。また空港やスーパーマーケットなどの工夫。日本の大牟田市(まちが変わると退院する人が増えた)、富士宮市(認知症の人の声からはじまるまちづくり)、町田市(アイ・ステートメント、Dカフェ、デイサービスの人が洗車など地域で仕事をする)などが紹介される。
認知症とそうでない人の間の目に見えない多くの壁を取り除く、互いが互いを支える。日本の最重要の課題だ。