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21日、2021年度予算案が閣議決定されました。一般会計の総額は2020年度当初予算に比べ、3.8%増の106兆6097億円。3年連続で100兆円を超えました。コロナ禍で落ち込む景気の底上げをはかり、コロナ克服へ様々な予算を計上しています。歳入は税収が減り、57兆4480億円にとどまっています。借金にあたる新規国債の発行額は約3割増の43兆5970億円で、財政運営は厳しい状況となります。

この予算では新型コロナウイルスへの対策を中心にして、コロナ対策の予備費として5兆円を計上。もっとも多い社会保障費は35兆8421億円に達しています。また、防災・減災に重要な公共事業費は6兆695億円、防衛費は5兆3235億円になります。

菅内閣発足後、初の編成となる予算ですが、看板政策であるデジタル化や脱炭素への取り組みを加速させ、経済再生を狙うものとなっています。

来年1月の通常国会に提出し、15日に決定した2020年度第3次補正予算案と、今回の2021年度予算案を合わせて「15か月予算」と位置づけ、一体的に編成した予算案の審議が行われます。いずれも早期成立をめざします。


座右の書『貞観政要』.jpg「中国古典に学ぶ『世界最高のリーダー論』」が副題。「貞観政要」は、唐の第2代皇帝、太宗・李世民の言行録。座右の書とする人も多く、北条政子、徳川家康、明治天皇も愛読したという。房玄齢、杜如晦(とじょかい)、魏徴(ぎちょう)の3人の名臣を用いたが、とくに魏徴は、かつては李建成(次男の李世民に殺された兄)に仕えていた外様で、李世民に耳に痛いことを言い続けた。もう一人の功臣・王珪も外様で諫言する部下だった。

出口さんは『貞観政要』のなかの「三鏡」――銅の鏡(自分を映す)、歴史の鏡、人の鏡(部下の直言や諫言を受け入れる)を座右の銘にしているという。納得だ。「十思九徳――いいリーダーに共通する10の思慮と9の徳業」「魏徴は、何かをしなくても、また何かを命令しなくても世の中を治めることができるのが聖天子(徳の高い皇帝という。適材適所に人材を配置することで全てが決まる。あとは信頼して任せる)」「むやみに行使しないのが"強い権力"(権力は正しく使うべきであり、力をもって人民や家臣を服従させてはならない)」「どんな組織も"上に立つ人の器"以上のことはできない」「いっそ"上司の器は空っぽ"にする」「"人がついてくる"と、権力・人事権で"人を従わせる"は大違い」「明君の条件――複数の人の意見、諫言を聞き入れること」「人には瓦タイプ(じっくり育てる)と鉄タイプ(叩いて伸びる)の2つがある」「太宗は3つのことを実践した――"過去の皇帝の失敗に学ぶ""善人を登用する""戯言に耳を貸さない"」「太宗は大局観で捉える君主だったが、"小事が大事"と臣下には小さな問題も放置してはいけないと言った」「国家や組織を治めるには、リーダーが『言(げん)』と『徳』、言葉と人徳を立てることが大事(言葉と人格の言行一致)」「リーダーは目先だけでなく、"時間軸"を頭の中に持て」「思いつきの指示は部下に必ず見抜かれる(信と誠がある人が人を動かす)」・・・・・・。

臣下の劉洎(りゅうき)は、皇太子の教育が行き届いていないとして「読書」「文章」「人との交流」を太宗に上申した。人物を大きくする3要素だ。貞観政要には「『疾風、勁草を知り、板蕩、誠臣を識る』とあり、困難に遭って初めて真価がわかり、天下が乱れた時こそ、その人の忠誠心がわかる」とある。「優秀なリーダーでも管理できるのは10人が限度。太宗は自分は賢くない、すべてに口を出したら人民を惑わすとわかっていた。それで賢良な部下に任せた」「太宗は組織を少数精鋭にする、少数にしたら精鋭になると考えた」「創業と守成――房玄齢は天下平定に艱難辛苦を経験したゆえに創業が難しと考えた。魏徴は天下を安定させ驕りを心配し、守成の難しさを理解していた」・・・・・・。

「君は舟なり、人は水なり」は貞観政要の有名な一句。「水は能く舟を載せ、亦能く舟を覆す」とし、君主が正しい政治を行わなければ、水(人民)は荒れ狂い、舟(君主)を転覆させると言った。そして「有終の美」を飾れる人には「初心を忘れない」「諫めてくれる臣下をもつ」が大事といい、太宗は魏徴の直言を屏風にしたという。


ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人.jpg東京から離れた小さな観光の町。若者たちが町おこしを企画するが、コロナ禍で中断を余儀なくされ、寂れと閉塞感が漂う町。そんななか、殺人事件が起きる。殺されたのはとても信頼されていた元中学校教師・神尾英一。東京に住む結婚間近の娘の真世は、動揺・混乱のなか駆けつける。ちょうど同窓会をやろうと同級生が集まることになっており、そのなかには今、人気沸騰のアニメ「幻脳ラビリンス」の作家・針宮克樹や、それで町おこしをしようとしていた建設会社の柏木広大、銀行員の牧原悟、九重梨々香、本間桃子、原口浩平らの面々がいた。捜査が開始されるが、そこに突然現われた神尾英一の弟の武史。これがなんとマジシャン。「俺は警察より先に、自分の手で真相を突き止めたいと思っている」と真世を使いながら、警察を手玉に取って謎を解明していく。周りを翻弄する、まさに心理学に長けた"黒い魔術師"の知恵と仕掛け満載。怪しい、ぶっ飛んだ"お叔父さん"だ。

コロナ禍を背景にした東野圭吾最新作。殺人動機を考えると、"正義"や"善意"というのは真正面から振りかぶられると、この矛盾撞着の社会では、時には困り果てることもあるもの、との思いを深くする。


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18日、公明党東京都本部の「水と緑の回廊PT」(顧問=太田昭宏、座長=竹谷とし子参院議員)が東京都庁で行われ、出席しました。これには、「玉川上水・分水網を生かした水循環都市東京連絡会」(代表=山田正・中央大学教授)、国交省、東京都の三者が集合し、公明党から、竹谷としこ参院議員、小磯善彦、上野和彦、古城まさお各都議会議員らが参加しました。

このPTは「水の都・東京」をめざし、玉川上水の清流復活、水質の悪い外濠の浄化、あわせて日本橋川などの水流を舟運・観光のできるものにしようと取り組んできたもの。

この日、同連絡会より、清流復活のため沿川市区長から協力を得ようと説明に回っていることや、「玉川上水系の中長期的な整備・活用ビジョンの策定」「玉川上水の試験的な通水の実施」「試験通水と関連河川の流況改善」「緊急水利の配慮」などの要望を聞きました。

「水の都・東京」が前進できるよう、さらに頑張っていきます。


忖度と官僚制の政治学.jpg「政治家と官僚」「権力と忖度」という政治の今日的問題を、マックス・ウェーバー研究で著名な野口雅弘成蹊大教授が、ウェーバー、シュミット、アーレント、キルヒハイマー、ハーバーマス等々の思想を交えて語る。「政治と官僚」の現場にいる私としては、当時と現在ではグローバル化した経済社会、情報・メディア社会をはじめ大きく変化している状況にあるが、その根本的な問題を改めて「考える」ことは貴重なことだと思う。

ウェーバーは、「パーソナルではない」「事柄に即した」事務処理を官僚制の特徴とした。脱官僚は、政治的な決定の幅を広げ、パーソナルなものを呼び戻すことであり、「人」による決断の根拠をめぐる党派的争いが顕在化することを意味する。官僚組織の「合理性」で押さえ込んだものが、解き放たれ、「声の大きな人に左右される」か「決められない政治」になったりする。民主党政権の「脱官僚」と「決められない政治」はリンクするわけだ。その「決められない政治」は、「伝統的支配」「合法的支配」「カリスマ的支配」の三つの支配類型で、官僚の「合法的支配」から「カリスマ的支配」への待望を呼び起こす。カール・シュミットの問題提起だ。アレントの「権力」と「暴力」の区別も、カリスマ的支配の「不安定性」「人々がカリスマを承認するかどうか、そこに潜む破壊性の怖さ」の分析も、同じ位相といえる。ただし、「今日、カリスマと呼ばれるリーダーは、ウェーバー的な意味におけるカリスマとは異なる。彼がカリスマに込めた政治的な論争性の援護という視座が抜け落ちている」と指摘する。

「仕事としての政治」でウェーバーは「官僚の行為は"怒りも興奮もなく"なされる。政治家によって決定されたことを、自分が反対の意見をもっていたとしても、淡々と、誠実に人格を介在させずにやり通すことに、官僚の"名誉"がある」という一方、「政治家を特徴づけるのは"闘争"である。違う立場の人と論争し、自分の決断・決定に責任を負うことが求められる」という。私は「官僚主導か政治主導か」という二者択一論には違和感がある。官僚は優秀だが、世の中の動き、多様な民意についてのセンサー、動体視力には弱く、前例踏襲主義に陥りがちになる。政治家は"民の中"で動いている。厳しい選挙という審判が常に待っている。緻密性に欠ける所もあるが、時代の変化という"時間軸と動体視力"は不可欠だ。大事なことは役割が異なり、違う世界に生きてきた両者が交わり、いいコンビネーションでやっていけるかどうかだと実感する。そこに"悪しき忖度"を乗り越えるカギがあるとも思う。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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