驚くべき特殊能力を持つ羽原円華が謎を解く「ラプラスの魔女シリーズ」第3弾。親子2人で暮らす中学生の陸真の父・月沢克司が、川で遺体となって発見される。克司は元警察官で、全国に指名手配されている犯人の顔写真を覚えて、街で見つけ出すスペシャリスト、「見当たり捜査員」だった。陸真は羽原円華と出会い、「あたしなりに推理する。その気があるなら、ついてきて」と言われ、一緒に動き始める。円華は美しい魅力的な女性だが、驚くべき特殊能力を持ち、危険をものともせず謎の解決に切り込んでいく。そして、17年前のT町一家3人強盗殺人事件に関係していることに至る。この事件は迷宮入りとなっていたが、10年以上経ってから匿名の情報提供があり、追い詰められた犯人が海に身を投げ終決していた。しかし、父親の克司は違和感を持って事件を追い続けていたようであった。円華は.「あのニ人――陸真と照菜ちゃんに、お父さんの本当の姿を見せてやりたい」と思う。照菜ちゃんは、円華が面倒を見ているエクスチェンジドで、声は出せないが極めて優れた記憶能力を持っていた。
AIによる監視システムが強化されていく日本。「ゲノム・ モンタージュがあれば、今の世の中それがどこの誰かを付き止めるのは実に容易い」「社会システムに革命を起こす。その革命とは、全国民のDNA型データベースの構築だ」・・・・・・。しかし熟練の「見当たり捜査員」は、ゲノム・モンタージュを超えることが描かれている。
最後まで緊迫した攻防が続く。とともに、疑問が全てスッキリ解き明かされるのが心地良い。