burakkusyo.jpg真世の叔父さん、警察を手玉に取って、謎を解明していく心理学にたけた「黒い魔術師」の知恵と仕掛けが満載。痛快、爽快、バー「トラップハンド」のマスター神尾武史が活躍する。
「リノベの女」――亡き夫から莫大な財産を相続した女性・ 上松和美の前に、何十年も会っていない絶縁したはずの兄が突如現れ、「あんたは俺の妹じゃない。偽物だ」と脅す。一体どうなっているのか。一部始終を聞いていたマスターの神尾は驚くべき謎解きを披露する。よくぞここまでという絶妙のさばきは素晴らしいし、面白い。

「マボロシの女」――歯科医でジャズ・ミュージシャンの高籐智也は火野柚希と「息子が高校を卒業したら離婚して一緒になろう」約束をしていた。ところが突然、交通事故で死亡してしまう。2年たっても立ち上がれない柚希。「親友の為なら、たとえ自分が傷ついても構わない」と、親友の山本弥生は神尾と相談し思いもよらない手を打つ。人が生きていくうえで助けとなるのは、失ったものではなく、手に入れたものです。愛する人は帰ってこない。だけどあなたには、あなたの為なら、血を流す覚悟を持つ友人がいる」・・・・・・。柚希は「明日からは生まれ変わろう」と神尾に言うのだった。

「相続人を宿す女」――文光不動産の神尾真世はマンションのリフォームを頼まれ富永良和・朝子夫妻から相談を受ける。ところが大変なことが起きる。その持ち主の息子が交通事故で急死。さらに8ヶ月前に離婚した奥さんから、妊娠しており、おなかの子には相続権があると言ってきたという。相続目当ての嘘ではないか。――神尾が動くが・・・・・・。とてつもない真実に、本作に没入、驚愕した。凄まじい謎解き。
「続・ リノべの女」――老人施設に入っている末永久子は認知症が始まっていたが、自殺した娘はまだ生きていると言い始める。そんな時、古くからの親しい友人からも「街で偶然懐かしい奈々恵さんを見かけた」との手紙を受けていた。「彼女の幽霊を探し出そうとするやつが店にやってきた」「上松和美は、真世が部屋のリノベーションを担当した客だが、重大な秘密があった。・・・・・・本名は末永奈々恵・・・・・・」。「リノベの女」の後日談だが、よくこんなことを思いつくというほどの謎解きと解決策。

「査定する女」――「トラップハンド」の常連客・インテリアコンサルタントの陣内美菜は、"玉の輿願望"の持ち主で、相手を連れてきては神尾に査定をお願いしていた。いつも大胆かつ巧妙な見事な査定だった。今回、真世の紹介で会った男はなかなかの男で査定は合格。ところが、同時にアメリカのミュージカルスターへの本格的誘いを受ける。さぁどうする? そこで神尾の仕掛けた驚天動地の一手とは・・・・・・。

いずれも、さすがと唸らせる東野圭吾の世界。かつ登場する女性は皆、覚醒し、新出発をするのだ。 

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

太田あきひろホームページへ

カテゴリ一覧

最新記事一覧

月別アーカイブ

上へ