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名勝・奥入瀬(青森)の自然を守れ

2016年12月27日

国交省新機軸の環境保全道路建設へ

国内屈指の景勝地である青森県十和田市の奥入瀬渓流の自然を守るため、青森県と国土交通省が準備を進めていた「青橅(ぶな)山バイパス」の整備工事がいよいよ本格化する。自然環境の保全を主目的に掲げているとはいえ、環境規制が厳しい国立公園の特別保護地区内で国道を建設するのは異例。「奥入瀬モデル」として、自動車の排ガスや騒音に悩む全国の国立公園の関係者らからも注目されている。

 『特別保護地区をトンネルで/十和田八幡平国立公園の「青橅(ぶな)山バイパス」/今後の道路事業のモデルに「観光」との両立めざす』

 ■背景と経緯
<住まば日本 遊ばば十和田 歩きゃ奥入瀬三里半>。明治の文人、大町桂月はそう詠んで、四季折々にさまざまな表情を見せる奥入瀬の渓流美をこよなく愛した。

実際、渓流の起点となる焼山から十和田湖畔の子ノ口まで渓流に沿って設けられた三里半(14キロ)の遊歩道を歩けば、桂月ならずとも感動すること疑いなし。文字通り、十和田八幡平国立公園を代表する"青森観光の目玉"と言っていいだろう。

だが、周囲のブナ林が最も美しい春や秋の観光シーズンともなれば、渓流沿いの国道はマイカーで溢れ、渋滞が常態化。騒音で散策の快適性は損なわれ、排ガスによる自然環境への影響も悪化する一方にある。

こうした状況を受け、県は渓流を迂回する形で焼山〜子ノ口間にバイパスを整備することを計画<地図参照>。第1期工区分の「奥入瀬バイパス」(惣辺〜青橅(ぶな)山間7・7キロ)は既に供用を開始している。

一方、全区間が国立公園の特別保護地区内を通過する第2期工区分の「青橅(ぶな)山バイパス」(青橅(ぶな)山〜子ノ口間5・2キロ)は、ほぼ全域がトンネルとなることから高度な技術と膨大な予算が求められ、計画は長く具体化できずに来た。

そこで県は、国の直轄事業として整備するよう、再三にわたり政府に要請。こうした中、2013年5月、県議会公明党の伊吹信一、畠山敬一両県議らと現地を視察した太田昭宏国交相(当時)は、「環境保全と景観保持、観光振興のためにバイパスの整備は極めて重要」との認識を表明。これを受けて、同バイパスを国直轄の新規事業として建設する動きが一気に加速し、今年4月には石井啓一国交相の下、トンネル本坑工事の前に先行整備する避難坑の工事費が計上された。

 ■意義と展望

「国立公園内にトンネルを掘るなど、本来なら環境省は反対すべきもの。それが同省のお墨付きでつくられるのだから、画期的というほかない」。こう言って、青橅(ぶな)山バイパスが奥入瀬の景観と環境の保全にもたらす効果を力説するのは、構想段階から同事業に関わってきた青森県県土整備部の鈴木潔部長だ。

奥入瀬の象徴とも言うべき大小の滝の流量や水質への影響からルート選定に至るまで、地質学や環境学の専門家を交えて検討を重ねてきた日々を振り返りながら、「青橅(ぶな)山バイパスは過去にない新基軸の公共事業。国立公園の自然環境保全へ、新たな展望を開くことになる」と強調する。

住民の期待も大きい。焼山地区で喫茶店を営む傍ら、奥入瀬の四季を撮り続けている写真家、漆戸登さんは「ブナ林の衰弱はカメラもはっきりと捉えている。一日も早い完成を」と願う。

バイパス完成後を睨んで、県では早くも渓流沿いの国道で電気自動車を試験的に走らせたり、民間団体と協力してマイカー規制の試行などに取り組んでいる。バイパスの早期整備を推進してきた県議会公明党も「観光と環境の両立は可能」(伊吹県議)として、「奥入瀬モデル」の追求に余念がない。

『地元の悲願実現へ/公明の奮闘に感謝/十和田市長/小山田久』

日本交通公社による観光地評価などで「超A」にランクされている奥入瀬渓流は、郷土の誇りにして日本の宝。私自身、子どもの頃からこの大自然に包まれて育ってきました。

しかし近年、環境劣化が進み、木々の間から空が見えるほどに樹勢も衰えてきています。青橅(ぶな)山バイパスは、この悪しき流れを食い止め、観光振興にも直結する画期的事業。地元にとっても長年の夢でした。

この夢の実現に向け、公明党は私たちと同じ思いで取り組んでくれました。国交相として自ら現地に足を運んでくれた太田衆院議員はじめ、公明党議員には深く感謝しています。

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