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信頼される戦没者遺骨収集に

2020年6月 3日

専門組織で科学鑑定  厚労省、今夏にも業務を実質開始

今なお海外に眠る日本人戦没者の遺骨収集事業を巡って、昨年発覚した外国人の遺骨との取り違え問題。事業を進めてきた厚生労働省は再発を防ぐため、遺骨の科学的鑑定を専門に行うセンターを2021年度に設置し、知見・情報などを一元的に管理する方針を決めた。今夏にも実質的な業務を開始する。国内外から信頼される体制をめざし、改善を訴え続けた公明党の主張が反映されたものだ。

取り違え問題受け 公明が提言重ねる

厚労省によると、海外や沖縄、東京・硫黄島での戦没者約240万人に対し、未収容の遺骨は約112万柱。国は現在、16年に成立した戦没者遺骨収集推進法に基づき、16~24年度までを集中実施期間として収集を進めている。また、同省が契約した国内12大学で、身元特定のためのDNA鑑定を行っている。

ところが昨年、日本人以外の遺骨も収容された疑いがあると報道され、取り違え問題が表面化。ロシアやフィリピンで収集された遺骨について、05年以降、DNA鑑定の専門家が「日本人ではないのでは」などと繰り返し指摘し、遺骨の返還や事実の公表を求めたにもかかわらず、ほとんどのケースで歴代の厚労省担当者らが具体的な対応を取らなかった実態が判明した。

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事態を重く見た公明党は、太田昭宏全国議員団会議議長らが課題解決に奔走。公明党が改善を推進した沖縄の遺骨収集も念頭に関係者との議論を進めた。

昨年11月には、衆院厚労委員会で高木美智代氏が事業の抜本的な見直しを訴えた。高木氏は、目視でアジア系と判定された遺骨が日本人として扱われ、DNA鑑定用の検体を採取した後は、日本の慣習に基づく焼骨が現地で行われてきたことに言及。戦場には、旧日本軍の朝鮮半島・台湾出身者など多くの民族がいたとして「鑑定するまでは焼骨せず、外国人のものと分かった場合は丁寧に、速やかに返還を」と強調した。

さらに、DNA鑑定についても「厚労省が主体となって質の高い研究所をつくるべきだ」と提案した。

公明党は、先月19日にも加藤勝信厚労相に対し、鑑定の体制強化を提言。この結果、厚労省は同21日の有識者会議で、専門組織の設置や、鑑定終了まで焼骨しない方針などを発表した。

遺骨を適切に鑑定し、それぞれの祖国に返すことが日本の道義的責務であり、平和への貢献になる――との信念の下、公明党は今後も改善に取り組む考えだ。

沖縄は模範の取り組み
DNA抽出・分析 県内実施へ前進

沖縄での遺骨収集は、DNA鑑定の専門家が収集に関与し、未焼骨で保管するなど模範ともいえる取り組みが行われている。公明党は、これを後押しし、地元関係者と秋野公造参院議員らが歴代の厚労副大臣(公明党)にDNA鑑定の対象拡大などを要望して、具体化を強力に推進してきた。

一方で、遺骨の鑑定が県外で行われることから、秋野氏は先月26日の参院外交防衛委員会で「沖縄の皆さんが、より関われる形に」と主張。稲津久厚労副大臣(公明党)は「DNAの抽出・分析作業を沖縄で行うことが考えられる」と述べ、事実上、沖縄で鑑定を完結させる意向を示した。

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