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タイムラインで命守る/水害などに備えた防災行動計画

2022年6月 9日

「いつ、誰が、何を」明確化

 梅雨の季節となり、風水害が起きやすい時期に入った。こうした災害から命を守るための重要な備えが、「タイムライン」(防災行動計画)の活用だ。普及をめざして先月10日、全国34市区町村の首長らが参加する「国民会議」も設立された。タイムラインの活用例や公明党の取り組みとともに、国民会議の発起人である東京大学大学院情報学環総合防災情報研究センターの松尾一郎客員教授のコメントを紹介する。

■三重・紀宝町、早めの避難を促し被害抑制

 タイムラインは、豪雨や台風といった災害を想定し、行政や住民らが命を守るために取るべき防災行動を「いつ」「誰が」「何を」という視点で時間軸に整理したもの【図参照】。いざという時の行動や役割を事前に決めておくことで迷わず動けるようにする。

 2014年に自治体で初めてタイムラインを導入した三重県紀宝町は、同年の台風18号(10月6日上陸)で試行運用を行った結果、従来よりも各課の動き出しが早まり、住民への早期避難の呼び掛けがスムーズに行えたという。主な動きは以下の通り。

 <10月2日午前9時> 「4日後に台風最接近」の予測を受けタイムライン始動

 <3日午前11時>   熊野川堤防の対応を国と協議し、地元消防団に伝達

 <3日午後5時>    避難行動要支援者への対応を福祉課などで協議

 <4日午後1時>    自主防災会や民生委員に対し、避難所開設や早期避難の呼び掛けを依頼

 <5日午前11時>   住民が自主避難を開始

   ◇

 紀宝町は、この試行運用以来、台風や前線の動きに合わせてタイムラインを計36回活用してきた。運用を繰り返す中で住民の意識が変わり、大規模な地滑りが発生した20年10月の台風14号の際には、早期避難によって人的被害をゼロに抑えるなど大きな効果を発揮している。

 同町防災対策室の担当者は、「毎回、皆で対応を振り返り、改善を重ねてきた。タイムラインに完成はない」と話す。

■骨太方針に"充実強化"/政府、公明の提案受け盛り込む

 7日に閣議決定した政府の「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)には、公明党の提案で「地方自治体によるタイムライン防災の充実強化を図る」と明記された。この記述は政府原案にはなかった。

 公明党はタイムラインを活用した防災対策を早くから推進。14年4月には、当時の太田昭宏国土交通相のリードで、同省として全国の国が管理する河川でタイムラインの策定を進める方針が決定。これに呼応して、公明党は政府への提言などで、国が主導して自治体の策定を促すための取り組み強化を主張。地方議会でも公明議員が自治体によるタイムラインの策定を後押ししてきた。

 その結果、これまでに国が管理する全国109水系の730市区町村で、避難に着目した水害タイムラインの策定が完了している。

■どの政党よりも熱心に推進
 東京大学大学院情報学環総合防災情報研究センター 松尾一郎客員教授

 タイムラインの取り組みが国内で始まって約8年、今では全国の自治体や地域、家族などさまざまな単位で運用されている。台風や豪雨から人的被災を防いだ事例もある。タイムラインを作り、きちんと使えば、確実に命を守ることができる。

 先月、設立された「国民会議」は、タイムライン防災について全国の自治体の経験値や教訓を共有する場になる。この国民会議に多くの自治体が連なり、タイムライン防災の輪がさらに広がることを願う。

 命を守る政治を貫く公明党は、どの政党よりも早く、熱心にタイムラインを推進してくれた。高く評価している。今後は、町内会など地域で作る「コミュニティ・タイムライン」を広げてほしい。20年7月に甚大な豪雨被害に遭った熊本県球磨村では、このコミュニティ・タイムラインによって100人以上が早期に避難できた。

タイムラインは作るだけでなく、使い続ける癖を付けることが重要だ。そのためには、タイムラインに精通した防災士などの地域人材の育成も急がれる。公明党のさらなる後押しを期待している。

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