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チャレンジ!地域再生

2012年6月 4日

増える空き家 抜本策なく

全国的に今、空き家問題がクローズアップされている。放置された空き家は放火や倒壊の危険など地域の安全を脅かしているが、現行の法制度では所有者に適切な維持管理を求める程度の対応策しかない。そうした中、自治体レベルで独自の取り組みを始めた長崎市と東京都足立区の現状を追った。

全都道府県
総住宅数の1割超す


5年に一度行われる総務省の住宅・土地統計調査からは、空き家が増え続けている実態がよく分かる。2008年10月現在で過去最高の757万戸。前回(03年)に比べて97万戸増えた。総住宅数に占める割合(空き家率)は13.1%、全都道府県で1割を超え、空き家の増加が全国的な傾向であることを裏付けている。

放置された空き家は、時間の経過とともに屋根や外壁が落下、家屋倒壊に至ることもある。地震や風水害時に倒壊、一部損壊するなどの事故も後を絶たない。ごみの不法投棄、景観悪化なども問題になっている。

危険な空き家が増えているが、現行法制は追い付いていないのが現状だ。建築基準法が建物の維持保全について所有者の努力義務を規定する程度で、倒壊寸前の空き家でも所有者に強制的に解体を促すような内容は含んでいない。増える空き家に対し、「問題あり」と認識する自治体は7割を超えているが、具体的な取り組みを行っている自治体は3割に満たない。ここに空き家問題の難しさがある。

20120604足立区廃屋.JPGのサムネイル画像太田議長ら現地調査
都内初、足立区で条例
指導、勧告し解体費用も助成


公明党の太田あきひろ全国代表者会議議長(次期衆院選予定候補=東京12区)は5月25日、東京・足立区が昨年から始めた空き家の適正管理を促す条例について同区内で実情を調査した。薄井浩一区議が同行した。

古くからの住宅が密集する地域を抱える足立区は昨年11月、都内で初となる老朽家屋等の適正管理条例を施行した。同条例のポイントは、管理の行き届かない危険な状態の空き家の所有者に対し、区が指導・勧告をできるようにしたこと。それに加え一定条件に見合う空き家には、所有者に解体費用の2分の1を助成(木造は上限50万円、非木造は同100万円)する点だ。

幸いけが人はいなかったが通学路に面した空き家の外壁落下をきっかけに、地域の防犯・安全確保の観点から区議会公明党(前野和男幹事長)が同条例の制定を推進した。

3月末現在、区内の老朽家屋は2133戸を数える。このうち、損傷の激しい管理不全の空き家は358戸、倒壊や資材落下の危険度が高いものが63戸ある。条例に基づく指導、勧告を受けて改修したり、解体まで進んだ事例は66件。このうち助成金を利用して解体したケースは4件あった。

区建築安全課の吉原治幸課長は「条例効果はかなり高い。今後、助成金を使った解体はさらに進んでいく」との手応えを語る一方、「条例は対処療法で、空き家を増やさないための方策が別に必要になる」と強調する。

視察後、太田議長は「住宅地の中にある空き家は放火など、地域住民がさまざまな心配を持ちながらも手を出せない場合が多い。足立区は現場の声に即して迅速な対応をしているが、しっかりバックアップしていきたい」と語った。 

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