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「未来に向けたまちづくりがスタート!」――7月8日、千葉県柏市の「柏の葉スマートシティ」のオープニングセレモニーに出席しました。


人口減少、高齢化で地方では地域が消滅する危機が問題になっていますが、大都市郊外の問題も深刻です。ニュータウンがオールドタウン化して極度に高齢化が進行。地域につながりがない高齢者の孤独化が増えています。


今回、本格的なスタートを切った「柏の葉スマートシティ」は、東京大学や千葉大学、柏市などと連携して三井不動産が開発を進めている地区。駅前にオフィス、住宅、ショッピングセンター、大学の研究機関が集積した、「職・住・遊・学」の新しいまちづくりの野心的な挑戦です。


ここでは「産・学・官」が連携して、「環境共生」、「健康長寿」、「新産業創出」でスマートウェルネスシティとしてのまちづくりが進められています。現地では、スマートグリッドを使ってまち全体のエネルギーを管理するスマートエネルギーセンター、予防型の医療施設が集まった医療ゾーン、国内外から研究者や留学生が集う知的なイノベーション空間などを視察。しかも、広場では子どもたちが元気に走り回り、お母さんたちが楽しく談笑しており、「未来的なまちですが、とても生活しやすいです」と話してくれたのがとても印象的でした。日本どころか世界で最先端の都市を目指しての本格的スタートです。毎日のように世界から視察団が来ているようです。


一方、柏市では、URの豊四季台団地で、建物が老朽化し居住者も高齢化した団地を蘇らせる取り組みを進めています(私は今年1月に視察)。高齢者がいつまでも安心・元気に住み続けられるモデルです。「医・職・住」として、高齢者の雇用も含めた新しい取り組みが始まっています。


7月4日には「国土のグランドデザイン2050」を発表しましたが、未来に向けた新しいまちづくりが現実にスタートを切っています。着実に進めていきます。


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平成の世から老中・田沼意次が失脚寸前の天明の世にタイムスリップした武村竹男(タケ)が見たものは・・・・・・。地本問屋「耕書堂」の蔦屋重三郎(蔦重)、歌麿、りよ、蔦屋の面々、狂歌連のメンバーや吉原や料亭で働く人々、勝川春朗(北斎)、花魁の菊乃や蜻蛉など、江戸の生きいきとした民衆が描き出される。


「"あがり"を定めて、人生を逆算しろってことだ」「かけてもらった恩は下に送らなきゃなんねえし、人にかけた情けは、いずれてめぇに返ってくる(恩送り)」「てめぇの道をてめぇで塞いでどうする?"でも"とか"しかし"なんて言ってる奴は、金言を逃すし、人様に可愛がってもらえねぇぞ(人の言葉を否定しない)」「てめぇの好きな仕事をやって人様に喜ばれることほど目出てぇことはねぇ」「やっぱり、怒りや恨みってぇ感情は、人を突き動かす力になるもんだ」・・・・・・。まさに人生の知恵、人生の勘どころが、次々と蔦重から発せられる。


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「2050年の日本の国土のグランドデザインを!」――7月4日の記者会見で、「国土のグランドデザイン2050~対流促進型国土の形成~」を発表しました。これは、昨年来、総力を挙げて詰めてきたもので、ついに発表となりました。


2050年の国土を考えるに当たっては、日本の直面する課題を直視しなければなりません。 ①急激な人口減少、少子化(63%の地域で人口が半分以下。約2割の地域でゼロ) ②異次元の高齢化の進展 ③都市間競争の激化などグローバリゼーションの進展 ④首都直下、南海トラフ巨大地震など巨大災害の切迫 ⑤ICTの劇的な進歩など技術革新の進展――などの課題を国民が共有した上で、未来を切り開いていくビジョンを描く、これがグランドデザインの狙いです。


このグランドデザインのキーワードは、「コンパクト+ネットワーク」。これにより、多様性を持った地域が相互に連携し、人・モノ・情報が対流する国土をつくっていきます。対流は温度差があって始まります。各都市、各地域が個性を発揮して、違いがあることから対流が起き、連携が始まります。また、コンパクト+ネットワークを、交通革命(リニア中央新幹線、自動車の自動運転、LCC等)、新情報革命(準天頂衛星による高精度測位社会等)により進化させていきます。


このように、実物空間と知識・情報空間が融合した、いわば3次元的な国土構造の中で、人・モノ・情報が対流して新たな価値を生み出す国土――「対流促進型国土」の形成を目指していきます。


さらに、グランドデザイン実現のための基本戦略として、①「小さな拠点」の形成(5000か所程度) ②高次地方都市連合の構築(60~70か所程度) ③リニア中央新幹線の整備による「スーパー・メガリージョン」の形成 ④ユーラシアダイナミズムと災害に強い国土づくりの観点からの「日本海・太平洋2面活用型国土」――などを掲げています。


これからは、このグランドデザインを実現していく段階。広く国民の方々に未来の国土づくりを考えていただくための「日本未来デザインコンテスト」も実施したいと考えています。安全・安心の国土づくりのみならず、経済・社会の活性化、医療・介護等も含めた「スマートウェルネスシティ」など、財政制約も踏まえて、未来に向けて取り組んでいきます。


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「いい子じゃなければ、また捨てられる」「今度こそ、いい子でいよう。ずっといい子でいよう」「こんなことをしても、わたしを捨てないでくれる? それを確かめたくてわるい子になる」――捨て子として施設で育てられ、ナースになる主人公・山本弥生。どうしようもない病院、そこに新しく来た藤堂師長や、患者にもなる近隣のおじさん・菊地さん等に導かれて成長する話。そういってしまえば実もふたもない。本書ではそれが淡々と、心の深層に迫りつつきわめて内省的に語られる。かつ生まれた時から命に染みついた諦観を、人と接するなかで一枚ずつはがし取っていく過程が描かれる。人が生まれ、生きていくということ、そして生き方というものを考えさせる感動的な小説。人間、人生、生老病死を考えさせ、煩悩・生死の海を乗り越えることを描いている本だ。医療現場の抱える問題にも切り込んでいる。


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「終わらない読書」と副題にあり、読書家で知られる中江有里さんの"読書録"を交えたエッセイ。何よりも伝わってくるのは、爽やかさ、人生への真面目さ、ひたむきさ、丁寧さだ。読書家というとどうしても理屈をこね回したりしがちだが、生命の自然態に感心する。高野和明著「ジェノサイド」について、「人間の心の襞、良心が丁寧に描かれる」と書いているが、本書自体がそうだ。


「読書神経(運動が体を動かすように、読書は想像力を働かせる。読書も運動も『正しく苦しがる』もの)」「作家たちの心を開き、名言を引き出したのは、児玉清さんの本への愛情と人柄によるところだろう」「ひとりでしかできない読書は面白いことに"自分はひとりじゃない"と確認することでもある」「本はわたしの心の友達」などと語る。私も児玉さんと話がしたかったなと思った。

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プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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