羊と鋼の森.jpg17歳の高校生であった外村は、ピアノの調律に出会い、衝撃を受け、調律師を志す。自らの素質に悩みながらも先輩の暖かさに囲まれ、素直に真正面から取り組み成長していく。音にかかわる深い世界を、素朴に、繊細に、心に沁み入るように描いている。静謐さ、しっとりした湿度、透明感が伝わってきていい。

羊のハンマーが鋼の弦を叩く。それが音となり、音楽となり、静謐で安らぎのある森の世界へと導く。「明るく静かに澄んで懐しい。甘えているようで、きびしく深いものを湛えている。夢のように美しいが現実のようなたしかな音(原民喜の文体の表現を使っている)」――外村が調律で目指そうとしたものだ。「家の中のどこにいてもなんだか安まらなくて・・・・・・すぐ裏に続いていた森をあてもなく歩き、濃い緑の匂いを嗅ぎ、木々の葉の擦れる音を聞くうちに、ようやく気持ちが静まった。・・・・・・どこにいても落ち着かない違和感が、土や草を踏みしめる感触と、木の高いところから降ってくる鳥や遠くの獣の声を聞くうちに消えていった」「ギリシャ時代、学問といえば、天文学と音楽。音楽は根源なんだよ。・・・・・・無数の星々の間からいくつかを抽出して星座とする。調律も似ている。世界に溶けている美しいものを掬い取る。その美しさをできるだけ損なわないようそっと取り出して、よく見えるようにする」「外村くんみたいな人が、根気よく、一歩一歩、羊と鋼の森を歩き続けられる人なのかもしれない」・・・・・・。沁み入るようだ。


シフト.jpg「2035年、米国最高情報機関が予測する驚愕の未来」と副題にあるが、驚愕というより現状分析を踏まえて未来を淡々と論じている。

マシュー・バロウズ氏は、アメリカのNICの元分析・報告部部長で、直近の2号である「グローバル・トレンド」(2025/2030)で主筆を担当。この「グローバル・トレンド」は4年に1度、新大統領に対し、アメリカが未来に向けて準備すべきことを報告しているものだ。

今、世界はG20の時代。新しい国家が台頭し、パワーの性質の変化やパワーの拡散が起きている。その拡散を起こしている最大の主体は、国家ではなくて個人。新たな中間層に加わり、新しいテクノロジーによってエンパワメントされた無数の個人がボトムアップ型のダイナミクスを生み出し、パワーの拡散を引き起こしている。新しい多様なアクターは、新たな国、NGO、多国籍企業、テクノロジーを身につけたスーパエンパワード・パーソンだ。

異常気象、気候変動、人口爆発、食料や水の不足、民族的・宗教的対立、人口移動、低成長、お粗末な統治、テクノロジー。そして覇権国の存在しない多極化する世界、中国やインドの動向、中東の不安定要因・・・・・・。難題があふれている。

序章「分裂する21世紀の世界」に始まり、「個人へのパワーシフト」「台頭する新興国と多極化する世界」「人類は神を越えるのか」「人口爆発と気候変動」「もし中国の成長が止まったら」「テクノロジーの進歩が人類の制御を越える」「第3次世界大戦を誘発するいくつかの不安要因」「さまようアメリカ」などに論及している。第3部は「核の未来」「生物兵器テロ」などが小説として書かれている。


憲法記念日 街頭280502.jpg

日本国憲法が施行されて69年。5月2日、都内で公明党憲法記念日街頭演説会を開催、山口代表、竹谷参院議員、高木(美)衆院議員らとともに出席しました。

現憲法はきわめてすぐれており、「国民主権主義」「基本的人権の尊重」「恒久平和主義」の憲法3原理を堅持していくことが重要。なかでも13条の「個人の尊重」が中核を成しています。私は、「基本的人権」「個人の尊重」の根底には「生命の尊重」「生命の尊厳」があることを主張。東日本大震災の復興構想会議議長の五百旗頭真氏が「災害が頻発するこの国で、防災・減災対策が国を挙げての最重要政策の一つに押し上げられることを望みたい」と言っていることを紹介。東日本大震災、熊本地震が発生し、首都直下地震や東海・東南海・南海地震が切迫している今、防災・減災を国を挙げての最重要政策とすべきことを訴えました。

そして首都直下地震では、建物の耐震化、公共施設や公共交通網の耐震強化、密集市街地の火災対策、地域での連携、防災教育等々、ハード・ソフト両面にわたっての強化対策に頑張ることを表明しました。


あぶない一神教.jpg世界は9.11同時多発テロから昨今のパリ同時多発、ベルギーの連続テロに至るまで、イスラム原理主義等に注目せざるを得ない状況にある。それには底流にあるキリスト教世界とイスラム教世界を理解することが不可欠だ。とくに仏教・儒教・神道等が積み重ねられてきた日本が、国際社会で生きようとする時、その理解が大切となる。

本書はかなりストレートな対談だ。「ユダヤ教」「キリスト教」「イスラム教」「人間の原罪」「キリスト教と国家」「イスラム共同体ウンマと国家」「ムスリムはなぜ欧米を憎むのか」「イスラムとの棲み分けの可能性」「第一次世界大戦の衝撃とバルト神学」「資本主義と労働・貯蓄・税金・隣人愛」「一神教の暴走と暴力問題」――。宗教、思想、国家を抉っている。

「大陸から隔絶された島国で暮らす日本人にとって、いま何が足りないのか。目に見えない知を論理的に突き詰めて、超越的な世界を知ろうとする態度――つまり一神教に対する理解だと思うのです」と結んでいる。

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プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任、公明党前代表。元国土交通大臣、元水循環担当大臣。

現在、衆議院議員、党全国議員団会議議長、東京第12総支部長、首都直下地震対策本部総合本部長、現代中国研究会顧問など。

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