「文明史が語るエネルギーの未来」が副題だ。19世紀の頃は日本でも西欧でも木材が利用され国土は荒れ地となっていた。今、再生エネルギーが注目されているが、太陽光も風力もエネルギー効率は低く、生態系をかつてとは別の形で破壊するリスクもある。「各エネルギー源は、全てそれぞれ独自の大きな欠点・問題を抱えており、魔法の杖、救世主のスーパースターはどこにもない」「将来のエネルギーはベストミックスしかないが、それはベストというより、より最悪でない組み合わせでしかない」「進むべき案内板はエネルギー源の動的な多様化と省エネだ」という。
「再生可能エネルギーの世界史」を語ったあと、「第一の反革命――再生エネルギーは環境に悪い」「第二の反革命――シェールガス革命」「第三の反革命――"石油の世紀"の終焉」を指摘する。CO2削減効果の高い化石燃料利用技術、石炭火力の発電効率向上技術、コージェネレーションなどの技術革新の現状等にも言及する。さらに、「デンマークを見習え」「ドイツは時代を先取りしている」「グリーン・ニューディール政策」などの言説の"言い過ぎ""誤り"をも指摘する。あわせて、「日本の天然ガス輸入価格は世界一高い」とし、経済への影響の深刻さ等々を述べる。
エネルギーと環境に関しての「思い込み」「認知バイアス」を歴史と原理に基づいて剔抉している。
「こんなにも世界は音楽に満ちている」――。宇宙の深遠、自然のなかでの息づかい、生命の鼓動が伝わってくる。光と音と静寂。自然との対話。心通う人間の覚醒と蘇生。心の中の大きな景色を弾き出すピアノ・・・・・・。ピアノコンクールを舞台にして、若者の伸びやかな感受性と未来性が輝きわたる広がりある傑作。
養蜂家の父とともに各地を転々、ピアノも持たず、常識を覆す破天荒な演奏で衝撃を与える破壊力抜群の天才少年・風間塵16歳。天才少女としてデビューしながら、母の死とともにピアノが弾けなくなってしまった栄伝亜夜20歳。名門ジュリアード音楽院の俊英・マサル・C・レヴィ・アナトール19歳。そして音大出身で妻子持ちのサラリーマン高島明石28歳。芳ケ江国際ピアノコンクールに集った若者が才能をぶつけ合い競い合う。互いが刺激を与え合い、化学変化を起こして高めていく臨場感と緊迫感はすさまじい。すがすがしい人間讃歌が響く。
国連PKO幹部として東ティモール暫定行政府の県知事を務め、シエラレオネでは武装解除を行い、アフガニスタンでは日本政府特別代表として武装解除を行ってきた伊勢崎賢司氏。それだけに全く学者の論評とは違う。現場の赤裸々な実態と武装解除等の実際の呼吸や間合いが伝わってくる。「グローバルテロリズムの震源地」のタリバン、アルカイダ、米国などの姿も生々しい。
グローバルテロリズムには、(1)インサージェンシーとしてのグローバルテロリズム(2)現場は先進国でIS的なものを標榜するホームグロウン・テロ――という2つの様相がある。グローバルテロリズムは、この2つの世界を自由に行き来する非常に厄介なものだと指摘する。「日本はもっとテロの脅威を自覚すべきだ」「日本には54基の原発が海岸線沿いにずらりと並んでいる」――。テロリズムは対岸の火事ではない。どう脅威に立ち向かうか。テロに対峙する憲法9条とは・・・・・・。かなり踏み込んで語っている。