人口減少、少子高齢社会の日本は、時系列的にどういう姿となっていくのか。それを明確にし危機感をもたなければ、今、行うべき対策が見えてこない。「日本の難しさは、人口減少をもたらす出生数の減少、高齢者数の増加、そして社会の支え手である勤労世代の減少という、それぞれの要因の異なる3つの課題に同時に立ち向かわなければならないところにある」と具体的に指摘し、「日本を救う10の処方箋」として「戦略的に縮む」「豊かさを維持する」「脱・東京一極集中」「少子化対策」を提示する。
例えば、「2017年、『おばあちゃん大国』に変化(ひとり暮らしをする女性高齢者の増大)(貧しいおばあちゃんの激増)」「2018年、国立大学が倒産の危機へ(より深刻なのは地方大学)」「2021年、介護離職が大量発生する」「2024年、3人に1人が65歳以上の超・高齢者大国へ(老老介護がのしかかる)」「2026年、認知症患者が700万人規模に("認認介護" が急増)」「2030年、百貨店も銀行も老人ホームも地方から消える」「2033年、全国の住宅の3戸に1戸が空き家となる(空き家が2000万戸を超える)」「2040年、自治体の半数が消滅の危機に」「2042年、高齢者人口が約4000万人とピークに」「2050年、世界的な食料争奪戦に巻き込まれる」「2065年~、外国人が無人の国土を占拠する」・・・・・・。
人口減少日本は現実だ。それを予見して今、やるべきことをやる。時間軸をもった政治が大切だ。
「保育サービスに1.4兆円の予算を投入すれば、数年以内に労働生産性成長率は約0.5%、経済成長率は約0.6%上がり、子どもの貧困は約2%減る可能性がある」「潜在的待機児童は2013年時点で約80万人だった」などと試算をし、いま日本に最も必要とされるのは「保育サービスを中心とした子育て支援」であり、「子育て支援が日本を救う」という。
労働生産性について「高齢者の割合が増えると、翌年の労働生産性が下がる」「労働力女性比率が上がると、翌年の労働生産性が上がる」「労働時間が短くなると、同年の労働生産性が上がる」――。子どもの貧困を減らすには「児童手当、保育サービスの拡充、ワークシェアリング、失業給付の4つだが、とくに上の2つ」――。そして、「出生率を改善しなくても、保育サービスを拡充すれば経済成長は望める。財政難、子どもの貧困、自殺率などの問題も、保育サービスを拡充すれば改善に向かう」ことをデータを用いて分析する。さらに社会保障の各国の歴史を地政学と宗教という根源から解読し、「高福祉国家・北欧とルター派の関係」「カルヴァン派がつくった低福祉国家・アメリカ」を述べ、きわめて興味深い。
「子育て支援の政策効果」と「財源をどうするか」という日本の問題で結んでいるが、とくに保守とリベラルが「労働生産性」と「子育て支援」では、共有して取り組めるではないかという。
副題に「世界が恋した日本女性」とあるように、明治の日本女性は乙女心を磨くために「家庭教育」を基礎とし、「修身教育」によって磨きをかけた。本書は近代日本における女子教育の先駆者・下田歌子の教えを中心として、女性の美しく磨き上げられた「心得」を説く。
「思いやる心、慈しみ深き心(礼と慈恵)(礼とは心の誠)」「おしゃれの極意(装飾と身だしなみ)」「心の通い合う人づきあい」「高尚な理想は女性の品格を高める」「天職と天命を知る」「きれいでかしこい家庭人(賢母・良妻)」「颯爽と道をゆく(勇気)」「信じる心に光あり(信念)」「凛と生きる(覚悟)」――。
「誠実」「慈しみ」「品格」「賢さ」「覚悟」・・・・・・。靭さも含めて「美しさ」を考えさせてくれる。