4584125384.jpgあまりにも凄絶な人生。柳美里さんの過酷なる世界に我が身を浸み込ませるのは不可能に近い。人生、生命力を考える。

在日韓国人として生まれ、小学校ではいじめに遭い、父はパチンコ屋の釘師で博打狂、殴られ続ける母は子供を受験で縛る。自殺未遂を繰り返し、高校1年で退学処分。東由多加率いる「東京キッドブラザーズ」に入団、共に住んだが彼は闘病の末に死亡することになる。付き添いもすさまじい。86年、演劇ユニット「青春五月党」を結成、最初に書いた小説が訴えられて出版できない。芥川賞受賞(「家族シネマ」)の時も裁判中。「わたしは過去を否定しない。その過去があって、今のわたしがある」――今は鎌倉から南相馬市へ移住、原発被害の街と人の中に入る。

宿業と向きあうが、自由奔放。宿業のなかで「深い人生でなくても幸せが欲しい」と思うのが凡夫の常だが、「人生にはやらなくていいことがある」といわれても、柳さんのように次々襲いくる難題に遭遇して格闘せざるを得ないのがまた人生というものか。いずれにしても凄まじい。


涙香迷宮   竹本健治著.jpg史上最年少の17歳で本因坊となった天才囲碁棋士・牧場智久と剣道二段の美少女・武藤類子。明治の異能の傑物・黒岩涙香の研究家たちと隠れ家を探り当て、難解な暗号の解読に挑む。そこで起きた殺人事件。それが湯河原の隋宝閣で起きた不可思議な殺人事件と結びつく。連珠の対局をしていたと思われる菅村悠斎が碁盤に覆いかぶさるようにつっぷし、アイスピックが背中に突き刺さっていた。周りには夥しい数の碁石が散乱していた。

カギとなる黒岩涙香と暗号いろは。人間技とは思えないような数千にも及ぶ「いろは」とそこに隠された暗号。その解読に天才・牧場智久の頭脳は冴えわたる。黒岩涙香の世界や遊戯・技巧の世界にも驚く。


奄美 ティダ委員会①.jpg  奄美 政経セミナー①.jpg

8月11日、鹿児島県の奄美大島に行き、公明党ティダ(太陽)委員会、遠山清彦衆議院議員の政経セミナーに出席。翌12日は、宇検村を視察しました。これらには遠山衆院議員のほか、三反園訓・鹿児島県知事、金子万寿夫衆院議員、成尾信春県代表をはじめとする県議、同群島の議員が参加しました。

先週、日本を襲った台風5号が奄美大島を襲撃。奄美市内で集落が分断され孤立したり、道路の法面崩落、床上・床下浸水も発生し、多くの被害をもたらしました。現在、復旧作業が急ピッチで進められており、また、次の台風への備えも必要です。

国交大臣時代から約4年ぶりの訪問となりましたが、この間、私が大臣時代に設けた「奄美群島振興交付金」によって、予算が格段に措置されるようになったこと、また、LCCの創便、観光客の飛躍的増加など、奄美は大きく発展しました。多くの方から感謝の声が寄せられました。観光客は一気に増え昨年は70万人にもなり、100万人を目指すまでになっています。

党ティダ委員会では、奄美全域から朝山毅・奄美市長など12市町村の首長、議長から奄美の現状、課題など多くの切実な要望を受けました。今年2回目の委員会で、「公明党に要望すると実現する」と信頼が高まっています。農業、漁業、観光、交通・通信、そして、雇用など、克服しなくてはならない多くの課題をそれぞれの市町村が抱え、率直な意見交換ができました。

問題は、次期「奄美群島振興特別措置法」に、これらの現場からの要望をどのように反映させていくかということです。私は離島振興ということからも、安全保障のうえからも、奄美の位置づけは大きく、奄美の現実と未来を見据えて、知恵を出し合って、引き続き連携していくことを述べました。

奄美 視察①.jpg

翌日は、元田信有宇検村長らから、同村の現状と課題について伺った後、世界自然遺産登録候補地になっている湯湾岳展望台を視察しました。霧が晴れ絶景でした。奄美の観光資源は魅力的。琉球と一体となって世界自然登録を目指し確実に進んでいます。また、黒糖焼酎工場に行き、仕込み、蒸留、熟成(音楽熟成)などの製造工程を見学しました。ここから世界に向けて出荷されています。

奄美は多くの可能性を秘めた魅力的な地域です。引き続き奄美の発展のために尽くして参ります。


錆びた太陽  恩田陸著.jpg21世紀の半ば、全国の原発が占拠・破壊され、国土の2割に迫る面積が立入制限区域となっていた日本。その人間の立ち入れない立入制限区域をパトロールするロボット「ウルトラエイト」たち。ある日、そこに国税庁から派遣されたという若く元気な女性・財護徳子がやってきた。この地域には、かつて人間であった者がなぜか死後蘇生・復活して「マルピー」という存在があり、その実態調査をするというのだ。

現在から100年以上も後の日本。国土はどうなっているか。原発の行方。遺伝子破壊と動植物への影響。人工知能AIやロボットの進化するなかでの人型電子頭脳と人間との共生。人間を守るようにプログラミングされたロボットと人間の「心」は通い合うのか。現実味を帯び始めたそうした社会を体感させてくれる意欲作。


プライマリーバランス亡国論.jpg「経済成長なくして財政再建なし」――。見るべきものは、「債務対GDP比」であり、それが国際標準的な基準だ。「日本の財政規律についての国際公約(G20サンクトペテルブルク首脳宣言)は『債務対GDPの引き下げ』であって、PB黒字化はそのための"手段"にすぎない」という。ところが日本は97年からデフレに沈むことになるが、税収がふえるといつも政府債務を削ろうとしてきた。消費税を上げ、小泉内閣の時の海外特需にも財政的ブレーキを踏み、安倍内閣でも消費税を上げてアベノミクスにダメージを与えた。常にPB改善が財政健全化の中核であったからだ。財政健全化のためには「増税によるPB改善」ではなく、必要だったのは「政府支出を据え置かないこと」「高成長」だったという。

「実態」市場で循環するマネーが「アクティブ・マネー」、「金融」市場に退蔵しているマネーは「デッド・マネー」。「経済成長とは金融市場から大量のマネーが実態市場に注入され、実態市場が活性化していく現象であり・・・・・・。一方、デフレ下では実態→金融市場へとマネーが"逆流"し、アクティブ・マネーが縮小していく」とし、そのためにも日銀の政策である「金融政策」と政府のPB赤字拡大政策である「財政政策」が求められるという。

「財政規律」は当然必要、しかしPBを目標にするなと、激しく「プライマリー・バランス亡国論」をいう。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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