ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー.jpg「ブレグジットがどうとか、EUがどうとかいう、大きく華々しいニュースの見出しの遥か下のほうで、一つ、また一つと子どもたちの小さな写真の数は増え続けている」――。人種差別や貧富の差が広がるイギリスの元"底辺"中学校に通う息子の「毎日が事件の連続」の日常。その葛藤と成長の姿を、ブレイディみかこさんが息子の考え、親の考えを交えて率直に綴る。激しく、ユーモアをもって繊細に、痛快に、赤裸々に描く。

ロンドンの南にあるブライトン、そこの公立中学に通う息子さん。貧しい白人の子どもが多く、移民が多いこともあって人種差別はかなりデリケートで大きな問題。学力的には底辺校であったが、音楽や演劇、スポーツ競技などにも積極的で学力も向上してきた。イギリスの最前線を生々しく伝えてくれて、刺激的で面白い。LGBTQも、かなり改善、深化している。「多様性はややこしい。衝突が絶えないし、ない方が楽だ」というが、日本とは及びもつかない多様性の現実があり、その格闘の日常が描かれる。「楽ばっかりしてると、無知になる」という。2010年から保守党の行った緊縮財政がいかに貧しさと分断を加速させているか、昨今のEU離脱をめぐる紛糾が庶民生活の現場にどう投影されているか。「ポリティカル・コレクトネス」「エンパシーとシンパシー」など、イギリス社会は日常の隣接の所で思慮されていることを感ずる。

それにしてもブレイディみかこさんの知性ある"肝っ玉母ちゃん"と、エンパシーとは「自分で誰かの靴を履いてみること」と即答する息子さんの聡明さが快い。


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2日の日曜日――。暖かな日差しのなか、地元では多くの町会・自治会で餅つき大会が行われました。

小さなお子さんから年配の方々までたくさんの方が来られて、大変に賑わいました。

小さな杵でお餅をつくお子さんの姿やつきたてのお餅や豚汁・おしるこを家族でおいしそうに頬張る姿がとても印象的でした。

この日も多くの方と懇談が出来ました。


熱源.jpg舞台はサハリン島、樺太。時代は明治初期から1945年8月、昭和の戦争。もとは無主の島であったサハリン島。やがて帝政ロシアと日本が共同で領有。その後、ロシアの単独領有となり、日露戦争で島の真ん中、北緯50度以南が日本へ割譲されていた。ロシアと日本のあわいで揺らぎ続けた島に、樺太アイヌ等の先住民がいた。

樺太出身のアイヌ、幼少時に北海道に移住していたヤヨマネクフ(山辺安之助)、同じ年のシシラトカ(花守信吉)、幼なじみの千徳太郎治・・・・・・。ロシア皇帝暗殺を謀った罪でサハリンに流刑されていたポーランド・リトアニアのブロニスワフ・ピウスツキは、テロ組織の残党でサハリンに住む民族学者レフ・シュテンベルグやロシアのアイヌ民族調査のため北海道を訪れるヴァツワフ・コヴァルスキらと交わり、アイヌの民族調査の道に入る。そしてブロニスワフは、アイヌの女性と結婚をする。

大激動する世界、国内の動乱。挟撃されるポーランド、日露戦争、文明の猛威のなか、凍てつく島で異民族が交差する。その国難のなかで生きる熱を与えたものは何か。文明が進歩の名の下に弱小民族を押し潰す。民族の幸せとは何か。弱肉強食のなかで国家は、なかでも人間は何をもって生きるのか。アイヌ民族を中心にしながら文明の理不尽、国家主義になだれる人間の愚かさを剔り出しつつ、人間の生存と生活の根源的な問いを発する。

私も関わった今年4月に本格オープンする「民族共生の象徴空間」――。白老町のアイヌ民族博物館には、ブロニスワフ・ピウスツキの銅像がある。本書には、二葉亭四迷、アイヌ語研究の金田一京助、南極探検隊の白瀬矗らとの交わりも描かれる。生きる「熱源」「誇り」が"受動の力"として骨太に伝わってくる。

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プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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