subetenohirou.jpg「疲れているのは体じゃない 脳だった!」が副題。1233冊のシリーズの1冊目。「体が疲れている」とは、実は「脳の疲労」に他ならない。仕事や運動をして、体の疲れを感じるのは、エネルギーが不足したからではない。「細胞のサビ」――すなわち、細胞への「酸化ストレス」、体内で活性酸素が過剰に発生することに関わっている。脳の細胞で活性酸素が発生し、酸化ストレスの状態にさらされることでさびつき、本来の自律神経の機能が果たせなくなる。これが脳で「疲労」が生じている状態の「脳疲労」。ヒトはその時に「体が疲れた」というシグナルを眼窩前頭野に送り、「疲労感」として自覚すると言う。運動などで体への負荷がかかると、「自律神経の中枢」もフル回転で心拍、呼吸、体温を調節しなければならない。この「自律神経の中枢」の疲労こそが、運動疲労の正体なのだ。だから、達成感のある仕事が過労死を招く。ランナーズ・ハイ、高揚感も危険。自律神経(交感神経と副交感神経の2系統)は、人が健康に生きていくために最も重要な器官。変調が起こると、質の高い睡眠が得られなくなり、心拍コントロールが困難となる。終業後のスポーツクラブ、土日の早朝ゴルフは危険だと言う。

「乳酸は疲労の原因ではない。疲れの直接の原因となるのは活性酸素である」「激しい運動とともに、活性酸素をたくさん発生させ、疲れの元になるのが紫外線。マラソン選手がサングラスをかけるのは重要」「疲労回復因子FRが疲労因子FFを抑制する」「疲労回復因子FRは加齢などによって反応は低下する」・・・・・・。

それでは、疲労回復因子FRの反応性を高めて、脳の疲労を改善するため何をしたらいいか。第一には良い睡眠。良質の睡眠が得られれば疲労因子FFによる酸化・損傷を回復させるに十分な疲労回復因子FRが分泌されるため、脳の疲労は回復する。疲労回復の決め手は、睡眠開始の3時間。1時間ほどで深いノンレム睡眠に至る。いびきは疲労の大きな原因となる。帰宅後は強い照明は避け、入浴が良い。第二には脳疲労を改善する食事成分。疲労回復成分「イミダペプチド」が効果的で、鶏の胸肉がいい(マグロやカツオも)。「クエン酸」もいい。レモンやグレープフルーツ、梅干し、酢など酸っぱいものに含まれる。第三にはオフィスや住空間。「ゆらぎ」のある生活で脳疲労を軽減すること。森の木漏れ日、そよ風、川のせせらぎ、鳥の鳴き声・・・・・・。自然環境の「ゆらぎ」と人体の「ゆらぎ」がシンクロすることが心地よさをもたらす。同じ環境、同じ温度、同じ姿勢ではダメ。デスクワーク中に立ち上がるだけでも疲労が軽減する。ぬるめの湯に10分以内の半身浴。休日は犬や猫を見習ってだらりと。

そして最後に、「脳疲労を軽減するために、ワーキングメモリを鍛えること」。短期記憶に加えて、長期記憶を参照させリンクする。知的機能を担う大脳の前頭葉の前頭前野にワーキングメモリの中枢がある。脳全体を有効活用するということ。ワーキングメモリを強化するときに、大事なのは、記憶の「再生」能力。感動の記憶は「再生」力の向上につながる。物事を多面的に見る習慣、会話のコミュニケーション、多趣味で興味を持つことが重要だと言う。大事なことである。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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