zetsedai.webp「お客様になっていく若者たち」が副題。大学・職場などにとって学生や若者が今、お客様になっていると言うのだ。「PTAに言いつけますけど、いいんですか」「気難しい表情の上司は存在がストレス」「怒らない=見捨てられた。だから、いい感じに怒って」――驚くよりも、それは今の社会の余裕のない、息苦しい風潮が、敏感な若者にまず現れていると思うべきで、Z世代は今の社会の「写像」と言う。そのキーワードは「不安」。若者は不安に常にさいなまれている。「労働環境が改善されているにもかかわらず不安感や疲れは増大している」「働きやすさを改善しても、社員の不安が消えない」「上司や先輩と飲みに行って、愚痴を言ったりすると、『不満』は解消できるかもしれないが、『不安』や焦りは全く解消されない」のでだ。「職場の飲み会に、かつては『行きたくない』が増えた時期があったが、近年はそれが減少、それも『別に行ってもいい』が増えている。わざわざ断るほど主体性はない」ことのようだ。Z世代の特徴として、タイパ、コスパのリスク回避志向が強く、目立ってしまうのは嫌だが、平均よりちょっと上にいたいというのだから、なかなかデリケートで厄介な感じがする。

SNS、学校、友達」――。若者世界のリアリティはかなり変化しているようだ。「若者は、とてもきめ細やかに互いを監視している」「初対面なら、まずインスタのアカウントをし合う」「ラインは重い」のだ。いいねがたくさんもらえそうな投稿をしたがるという志向はもう古く、若者の多くは望んでいない。「イタイのだ」と言う。大学生も変わってきている。「大学は高校化して、大学でも友達離れできない人が多い。大学がテーマパーク化している。出席はしているが、ただ黙って座っているだけ」という傾向があると言う。

「消費の主役・ Z世代」――「Z世代にとって、推し活は当たり前のもの。なけなしのお金を何とか捻出して推しに投資する」「世界を推しとアンチに分断するというあまりに安直で、便利な世界観が加速している」「Z世代は、怪しい非倫理的ビジネスに走りがち」「流行るモバイルプランナーと友達商法。モバイルプランナーに従事した学生は『インターン生』の肩書を持ち、その動機に『ガクチカ』がある(学生は大学にガクチカを作りに来ている)・・・。「コミュ力」のない若者が「ガクチカ」に振り回されているようだ。危ない。「インスタ映え」は過去の遺物(いいねを押さないといけないのは、非難の対象となる。楽しくないものから離れていく)。「Z世代は熱くならない。いつも冷めている。客観的には、こうであると言いたがって、決して主観には触れない」・・・

「職場とZ世代」――怒ること自体を、絶対的に否定する時代となっているようだ。だから上司は「めんどくさいから怒らないで、放っておく」となる。「若者の離職は、不満型離職から不安型離職に移っている」「自分は他社や他部署で通用しないのではないかと不安を持ち、こんな職場では、自分は成長できないと思い、不安を抱え、職を考える」と言う。ユルい職場、ユルい上司だと転職する。こんな職場では、自分が成長できないんではないかと思うというのだからほんとに厄介だ。就活がZ世代に与える影響と重圧は凄まじいようだ。そこに「成長」という要素が交錯するのだ。また「私、陰キャですから」と言っても、「それは令和の謙譲語である」と言う。間違ってはいけない。

Z世代は、我々の社会の構造を写し取った存在である。「不安になんかならなくていい。そのうちどうにかなるから」と言えばいいと言うのだが・・・

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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