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2020年4月 6日

八ツ場ダムが運用開始 
答える人=党全国議員団会議議長(元国土交通相) 太田昭宏さん

国が群馬県長野原町に建設していた「八ツ場ダム」が3月31日、計画から68年を経て完成しました。洪水調節や利水、発電などに対応する多目的な役割が期待されます。同ダム建設の経緯や機能、今後の水害対策などについて、公明党の太田昭宏全国議員団会議議長(元国土交通相)に聞きました。

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Q 建設の目的と経緯は?
A 利根川下流部の洪水被害軽減へ約70年を経て完成

アスカ 八ツ場ダム建設の経緯について教えてください。

太田 八ツ場ダムは1947年9月にカスリーン台風が関東地方などに甚大な被害をもたらしたのを契機とし、利根川上流で洪水調節を行い、東京都など下流部の被害軽減を図るために52年に計画されました。

当初は地元住民による激しい反対運動もありましたが、生活再建などの補償交渉が2001年6月に合意し、ダム周辺の道路整備などが着々と進んでいました。

その後、09年9月に旧民主党政権が誕生し、「コンクリートから人へ」の象徴として当時の国交相が八ツ場ダムの建設中止を表明。苦渋の決断で建設を受け入れた地元は大混乱となりました。

アスカ 当時、公明党はどう対応しましたか。

太田 建設中止が表明された直後、山口那津男代表らが首都圏の地方議員と共に現地を訪れ、地元関係者の声を聞くとともに、国会審議では「地元を無視した極めて乱暴な決定だ」と厳しく指摘し、政府に再考を促すなど地元に寄り添ってきました。

アスカ その後、12年12月に自公政権が再出発し、建設が前進したんですね。

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太田 はい。私は国交相として、ストップしていたダムの本体工事を開始させ、早期完成をめざすことを主張し、15年2月に本体工事がスタート。計画から約70年、紆余曲折を経て、今年3月31日に完成したのです。

ダムの総貯水量は約1億750万トンで、利根川上流にあるダム群の中でも比較的大きな規模です。来年の東京五輪・パラリンピックで急増が見込まれる水利用に対応するほか、東京など下流域を豪雨災害から守る機能を果たします。

Q 今後の水害対策について
A 調節池整備などハード・ソフトで加速度的に推進

アスカ 昨年10月に首都圏などを直撃した台風19号では、八ツ場ダムが河川の氾濫防止に役立ったそうですね。

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太田 その通りです。実は八ツ場ダムは昨年9月末でほぼ完成し、10月1日からは水をためてダムの安全性を確認する「試験湛水」を開始していました。その矢先の台風19号です。

19号では13都県で大雨特別警報が発令され、利根川上流でもカスリーン台風と同等の豪雨となりました。八ツ場ダムを含む七つのダムが貯水した雨水は約1億4500万トン。このうち八ツ場ダムは約半分の7500万トンを受け止めました。国交省は八ツ場ダムがないと仮定した場合、利根川上流と中流の境目にある観測地点では水位が1メートル上がっていたとの検証をまとめています。下流域の洪水防止に貢献し、首都圏を守ることができたのです。

アスカ 今後も水害への備えは怠れませんね。

太田 近年、雨の降り方が広域化、激甚化しています。昨年の台風19号や、18年夏の西日本豪雨はその象徴です。

このため気象庁は大雨特別警報を制定し、国交省では集中豪雨で河川の流下能力が限界となる前に、一時的に水をためておく調節池を各地に整備する方針です。例えば今、東京を浸水被害から守るために、さいたま市など荒川上流に二つの調節池の整備が進んでいます。国土が脆弱な日本の河川工学は、「川をなだめる」という手法をとってきました。ダムや調節池などのハード対策とともに、時系列の避難行動を記したタイムライン(防災行動計画)やマイ・タイムラインの普及など、ソフト面での対策もさらに推進し、安全・安心の日本を築いていきます。

(4月5日公明新聞に掲載)

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