震災後.jpgあの「亡国のイージス」や「終戦のローレライ」をぐいぐい描いた福井晴敏さんが、3・11東日本大震災と原発事故をどう描くか。注目の作品。

私は5月1日に気仙沼に入ったが、なんと本書の親子もその5月1日に気仙沼に入る。そこで中学2年の息子はボランティア・シンドロームともいうべき衝撃を受け、「未来を返せ!」と絶叫するに至る。本書は現在の"闇"と未来の書。

主人公は44歳の野田圭介、その息子、そして野田の親の3世代の心の中に潜むそれぞれの"闇"――。各世代の"闇"でもある。

文明の進歩と当然の失速・限界・失敗――。世界は完全だったためしは一度もなかった。そのなかで自然と文明の折り合いをどうつけ、経済と安全をどう両立させるか――。人は"闇"に囚われるかもしれないし、自らを壊そうとしてしまいそうにもなる。

しかし、人間には過ちを正す力がある。解決の力がある。「哀しみを遠ざけよ」と与えられた時空・社会の限定性のなかで、それぞれの世代が前へ進む意志のバトンを渡してきた。そこに人間の意志のつくり出す未来がある。" 闇"に苦しみながらも人はまた歩みだす。それゆえに、「未来は常に青年の胸中にあり」との自覚を社会全体でもつことが大切となる。

今回の文明史における大地震と大原発事故を、どうとらえ、どう語るか。祖父、父、息子の3世代が「文明と未来」について語り、現在を歴史の上に静かに置く。


終わりなき危機 君はグローバリゼーションの真実を見たか.jpg巨視的に、16世紀から今日までを経済の視点から観ている。テーマは膨張、そして近代の自己敗北だと思われる。歴史における危機について本当の危機はグローバル資本主義の膨張が止まった時だ。「近代」の膨張に代わる新しい理念を用意しようという。

カール・シュミットの「世界史とは陸と海のたたかい」。それと16世紀からのスペイン→英国→米国→先進諸国の盛衰のなかで観る。2001年9.11は「X?Y?Z」空間を低コストで安全に移動することを困難にし、9.15のリーマン・ショックは新しくつくったZ軸(電子・金融空間)を収縮させ、日本の 3.11原発事故は、X軸(交易条件)の縮小が、Y軸(市場)の膨張を打ち消して、X?Y空間を縮ませた近代に区切りをつけた事件・事故だととらえる。地理的・物的空間と電子・金融空間の膨張限界だ。

日本はその意味で世界に先行しているのであって、戻れない近代に戻ろうとして、成長をめざしても、巨視的に観て問題設定自体に間違いがある。デフレも、 GDPデフレーターが上昇しないと脱却できない。世界経済がよくならないと、GDPデフレーターは上昇しない。しかし世界がそうなると、原油価格をはじめ交易条件は悪化する。結局、成長が収縮をもたらし、「X―Y―Z」空間は崩れ、日本国内ではデフレは脱却できず、そうした交易条件悪化のなかでの人件費抑制は続き、売り上げが増加しても雇用者報酬は減り、結局、中間層は弱り、さらに消費は低迷する。

世界的にも日本においても、そうした「成長が収縮をもたらす」数々のアンビバレンツが噴き出す。成長、供給過剰、16世紀にもあった利子率革命が1974年以降の今も、資本の利潤率を再び引き上げようとする反利子率革命としてのグローバリズム――水野さんは「21世紀は脱テクノロジー、脱成長の『共存の時代』」「近代は過去の遺産を食い潰し、未来の利益を横取りした時代」と警鐘を鳴らす。経済のみならず、文明や思想を問う力が伝わってくる。


体制維新ー大阪都.jpg大阪が変われば日本の未来が変わる。
大阪都構想は大阪の衰退を脱して、日本のエンジンになる。そのためには大胆に体制を変える。一点突破の全面展開で。それは政治家の仕事だ。

世界の都市間競争に打ち勝ち、加えて二重行政解消のための行政改革によって財源を確保する。あわせて大阪の成長戦略を実現する。増税に頼らない成長戦略で、増えた税収で医療、福祉、教育などの住民サービスを拡充していく。内容は住民が決める。大阪市は基礎自治体としては大きすぎるし、住民から遠い。大阪を世界の都市間競争に打ち勝つための「強い広域自治体」と、きめ細かな住民サービスを行う「やさしい基礎自治体」の2つに分ける。2つは全く違うものだ。

「WTCを府庁舎に」「ベイエリアを国際特区に」「直轄事業負担金は"ぼったくり"」「伊丹空港を廃港に」「政治と行政の役割分担」「槇尾川ダム建設中止」「政治は直観、勘、府民感覚」「職員基本条例、教育基本条例」など、4年で取り組んできたことも紹介する。

戦闘意欲あふれる書。
バッサリとリスクを負ってもやり抜く政治のギリギリの局面だと思っている。


太田あきひろです。

今日(11日)、青空が広がるなか、地域を回っていると、「昨日の皆既月食はきれいでしたね」「東京の空もなかなかのものだね」と、さわやかな話があちこちで聞かれました。本当に美しくて感動的でした。冴え渡る月、赤胴色に染まっていく月、これほどまでと思うほど輝く星。ピンと澄んだ空気。久しぶりに夜空をながめました。

皆既月食.JPG大宇宙のなかの人間――。「きっぱりと冬が来た......」(高村光太郎)や、
カントの「感歎と崇敬とを以って心を充たすものが二つある。それはわが上なる星の輝く空とわが内なる道徳律とである」(実践理性批判)や、
ふるさとの空や山河を思い出したりしました。

天候に恵まれた天体ショーは、厳粛な気持ちになり、「気づきの人間哲学」の時でもありました。
最近の宇宙物理学は急速に進んでいるようです。
「暗黒物質と消えた反物質、暗黒エネルギー」「物質のすべては光」......。
宇宙の謎は深淵。


世代間格差.jpg「人口減少社会を問いなおす」と副題にある。「逃げる中高年、ものわかりの良い若者たち」――少子高齢社会、人口減少社会、デフレ、財政難の日本で、社会保障の持続可能性が大きな課題となる。社会のあらゆるところで、制度疲労が顕在化しているという現状を直視せずして、未来はない。

世代間格差は、現在の社会矛盾であり、怒号飛び交うはずのものだが、静かな、ものわかりのよい若者たちによって、争いが回避されているように見える。しかし、じつはより深刻な若者たちの不安、社会のなかでの不安定な立場で押しつぶされようとしている。それでは未来は暗い。

加藤さんは5つの要因を示す。
(1)人口構造の変化
(2)若者に頼った財政システム(社会保障制度の賦課方式など)
(3)日本特有の雇用慣行
(4)近視眼的な政策対応(経済・公共事業など)
(5)経済成長の鈍化
――だ。

そして雇用、年金、医療などの現状を簡潔に分析し、問題点を剔抉する。民主党の政策の欠陥が浮き彫りにされ、年金・医療・介護の現実、そして労働市場・雇用システムの変貌を分析する。社宅とは、公務員宿舎とは何か――なども読みながら考えさせる。

「若者の雇用拡大と世代間格差縮小は経済成長にあり、目前のパイの奪い合いではない」「経済成長を実施し、それと整合的な社会保障制度を構築する。それが世代間格差を縮小し、経済成長にプラスになる好循環をもたらす」――具体的方途も示す。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任、公明党前代表。元国土交通大臣、元水循環担当大臣。

現在、衆議院議員、党全国議員団会議議長、東京第12総支部長、首都直下地震対策本部総合本部長、現代中国研究会顧問など。

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