20120921震える学校.jpg山脇さんが2006年に出した「教室の悪魔」(ポプラ社)は衝撃的な本だった。現在の"いじめ"がいかに集団で、対象が入り替わり、残忍で、巧妙に、隠れた所で、ネット等も駆使して行われているか、その核心を突いていた。

本書では"いじめ"の実態を再び抉るとともに、教師自身が、一日百件もの誹謗メール「死ね」「レイプしてやる」などの"いじめ"にあい、噂によって職場を追われる実態にまでふれている。

「信頼される学校」のために、山脇さんは
(1)複数の教員の目で見守る
(2)保護者全員に知らせる
(3)電話ではなく、定期的な保護者会で話し合う
(4)子どもたちには保護者からも伝えてもらう
(5)被害者への質問はしない
(6)アンケートは、活用のルールを子どもに伝えておく
(7)情報は集めても、事実の調査にはこだわらない
(8)さまざまな大人が見守るオープンな学校に
(9)頻繁な保護者会で、連続的なコミュニケーションを生み出す
(10)子ども同士の話し合い
(11)学校内部で解決できない時は、教育委員会や警察への相談をためらわない
――などを示す。

 「人間の心には、生まれた瞬間から愛情で満たされなくてはならない器がある」「満たされないと心を苦しめる」「愛情を注ぐことだ」「愛情の器がカラカラに渇いている子どもが、いじめを起こす」と「愛情の器」を満たすことを山脇さんは訴える。


20120921いじめは2学期からひどくなる.jpg"成功哲学"の著書を次々と出している佳川奈未さんだが、御本人も息子さんにも何年も続いた地獄のような"いじめ"があったと語る。

「1秒あれば、いじめはできる」「持ち物すべてが、隠され、失くされ、壊され、焼かれる」「着る物もトイレに投げられる」「虫、石、泥、釘を食べさせられる給食」「殴られ、金品を要求される」――面白がってやる気晴らしゲームが、閉鎖された学校空間と世間体を優先させて真正面から取り組まない教師たちによって、地獄を生み出す。

「子どもの"無言のサイン"をキャッチする」「キャッチしたら、すぐ学校を休ませる」「学校に相談に行くタイミングと準備」「200%子どもを信じて、愛をもって守り、解決に挑む」――解決に向けて、やるべきこと、やってはいけないことを具体的に佳川さんは示す。

2学期からとくに"いじめ"はひどくなる。子どもを悪夢の毎日から救い出さないといけない。必読の本。


20120918乱世の名将 治世の名臣.jpg天道是か非か」「戊辰戦争とは何だったのか」「順逆史観」――。

基本資料を読み解いて、史実の歪みを正す。短いエッセイや史論のなかに、知名度の高い人も無名の人も登場させ、新たな角度を示してくれる。

「知られざる名将・長野業正」に始まり、
「柴田勝家は単なる猪武者か」
「浅井長政・痛恨の大錯覚」
「似た者同士・源頼家と武田勝頼」
「真田昌幸の生き残り策(「東西にみごろをわける真田縞」と川柳にはあるが、とうに決まっていたはず)」
「お江与の方という女」
「徳川家光の生母は春日の局か」
「江戸城天守閣と保科正之」
「殿中刀傷事件・豊島明重の場合」
「江戸時代の名裁き三例」
「坂本龍馬が明治を生きる」
「東洋一の用兵家・立見尚文」......。

さらに「邪馬台国論争」
「私の会津史」
「烈婦・山本八重の会津戦争」等々。

人物の真の姿に迫り、明快で、心があり、面白い。


20120918敬老会.JPG15、16、17日の3連休、スポーツ行事や各地域でお祭りが盛大に行われました。

17日は敬老の日。敬老の日祝賀の会にも参加しましたが、103歳の方をはじめ、多くのお年寄りにお会いしました。

今年は"団塊の世代"が65歳を迎え始めた年で、65歳以上の高齢者が総人口の24%、初めて3000万人を超えました。一方、社会の支え手となる現役世代は、少子化の影響で減少が続いています。

そうした中でも安心して暮らせる高齢社会を築くためにも、年金や医療、介護といった社会保障制度の安定と充実が不可欠です。「介護」は多くの方が特養施設などの待機を余儀なくされているのが現状。施設の拡充や働く職員の待遇改善などに努力をしてきましたが、更なる幅広い支援が大切となります。

高齢社会に向けて、白内障手術の保険適用やバリアフリー化の推進、成年後見制度なども進めてきましたが、元気で長生きできる「幸齢社会」を目指し、更に頑張ります。20120918.JPG


20120914戦後史の正体.jpg日本の戦後外交を動かしてきた最大の原動力は、米国に対する「追随路線」と「自主路線」のせめぎ合い、相克であった。米国の対日路線は、世界戦略の変化によって変わる――。前者は吉田茂、池田勇人、中曽根康弘......。後者は重光葵、石橋湛山、岸信介、田中角栄......。そう孫崎さんはいう。

歴史はそれほど二者にくっきりと分けてつくられるものではないことは、先頃の鳩山政権を見ても明らかだが、あえてはっきりと両者を分けて分析しているがゆえにわかりやすいし、回顧録等を駆使して、新たな視点で切り込んで分析しているがゆえに刺激的になっている。

日米安保条約がどこで誰によって調印されたか、行政協定の意味が重いのはなぜか、安保闘争とは何であったか、米軍基地はいかなる論議のなかで存続しているのか――孫崎史観は、本書ではとくに「60年安保」までを抉っている。1990年以降はむしろ「日米同盟の正体」に詳しい。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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