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23日で東京オリパラ開催まであと半年――。万全のコロナ対策、ワクチン、水際対策、医療機関との調整が何よりも重要です。組織委員会も「開催を前提にどうしたらできるかを考え、積極的にコロナ対策を講じていく」と言っており、観客のあり方、海外からの受け入れ、世界各地での選考会など、あらゆる準備を強い決意で進めています。時間が迫ってきました。


日本経済の再構築.jpg日本を襲う問題の本質は、深刻化する財政再建は前提だが、「人口減少・少子高齢化」「低成長」「貧困化」であり、この3つにどう立ち向かうか。そのためにも、日本の経済システムをどう再構築するか。本書はこの大きな難問に対し、総合的に実態の数値を分析して、改革案の「たたき台」を示している。コロナ直前の著作だが、コロナ禍で、日本経済やデジタル化や財政の弱点がより鮮明になったと観れば、「日本経済システムの再構築」に今こそダッシュする必要がある。小黒さんの壮大な挑戦的提案に敬意を表したい。現在のシステム崩壊が顕在化し始めるのは、2025年(団塊の世代が75歳以上、維新から約160年、日露戦争から120年、終戦から80年、プラザ合意から40年)という年と観る。

第1章「人口減少、低成長、そして貧困化」では、この3つの難問の現状と課題を述べる。「静かな有事の人口減少」「急増する貧困高齢者」「日本の生活保護は効率化の余地がある」という。第2章「財政」では、「厳しい財政の姿」「増加の原因は社会保障費の増加と国債費の増加」「国債償還額が税収を上回るのは日本だけ」「低金利ボーナスは終わる」等を語る。第3章「日本銀行と政府の関係」では、日銀の異次元の金融政策で、長期金利を低水準に抑えており、約1000兆円もの政府債務の利払い費を約10兆円に抑制しているが、"綱渡り""地銀への影響""金融政策の出口と限界"等の脆弱性を語る。"打出の小槌""痛みの伴わない財政再建"の魔法はないという。

第4章は「年金」――人口減少・少子高齢化のなか給付削減が必要となるが、低年金・無年金・貧困高齢者急増問題がある。現役世代に過重負担を強いて、所得代替率にもムリが生ずる賦課方式をやめる。「積立方式への移行は不可能ではない」と、概要を示す。第5章の「医療」では、「疾病ごとに自己負担の割合を操作する」「給付範囲の哲学の見直し」「自己負担を増やして給付を減らす」「後期高齢者医療制度においても、年金のマクロ経済スライドなどの自動調整メカニズムを入れる」など、全体の総額抑制への"小黒案"を示す。「自己負担は診療報酬に比例するため、診療報酬を抑制しても75歳以上の自己負担(窓口負担)が基本的に増加することはない」という。第6章の「国と地方の関係」では、"道州制"への移行を前提としている。「財政」中心の考え方自体ではここは把え切れない問題だと私は思う。第7章は「成長戦略と格差是正」――「データ金融革命こそが成長の起爆剤」「米中貿易戦争のなかで日本はどう生き抜くか」「日本発の『情報銀行』構想と情報利用権」「データ証券化構想」「生産性向上と教育=所得連動型ローン」など、生産性向上、成長戦略へのフィールドを大胆に広げる。

それらを遂行するために、第8章で「社会保障の新しい哲学」として、3つの哲学「リスク分散機能と再分配機能を切り分ける(保険はリスク分散、税は再分配だが、公費が区別なく投入されており、公費は本当に困っている人々に集中的に配分する)。その上で真の困窮者に対する再分配を強化し、改革を脱政治化する」「透明かつ簡素なデジタル政府を構築し、確実な給付と負担の公平性を実現する」「民と官が互いに『公共』を創る」を提案している。社会保障改革やデジタル政府、公設寄付市場などの提案は、しっかりした哲学の共有なくして前には進めないというわけだ。第9章は「残された課題――財政再建と選挙制度」にふれている。

実態を数値的に分析して、包括的かつ大胆、挑戦的な提案。それだけ日本の危機が迫っているということだ。


35人学級できめ細かな教育の実現へ――。政府は、2021年度から5年間かけて小学校の1クラスの上限人数を現行の40人(1年生はすでに35人)から、35人に引き下げることを決定。来年度の予算関連法案として審議されます。公明党が長年主張してきたものが大きく前進しました。これは、45人から40人に引き下げられた1980年度以来、約40年ぶりです。

この1学級35人は、「一人一人の教育ニーズに応じた決め細やかな指導」「デジタル社会のなかでのGIGAスクールに対応」「コロナ禍のなかでのソーシャルディスタンスに対応」を可能とするものです。

子どもたちの可能性を最大限に引き出す教育のため、さらに頑張ります。

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八月の銀の雪.jpg喧騒の文明社会に翻弄される人々。しかし、疲弊し摩滅しがちな日常のなかで、人との出会い、地球や自然への回帰によって自らを取り戻す時が必ずある。数学・物理学は「宇宙とは、世界とは何か」を追求する学問だと思うが、本書は人と地球・自然との邂逅のなかで新たな人間へと開示悟入し、蘇生していく様を、きわめて自然に描いていく。5つの短篇。

「八月の銀の雪」では、就活に連敗、人間の誇りも希望もズタズタにされた理系大学生の堀川が、何をやっても失敗続きのコンビニ店員でベトナム人・グエン(実は地球と地震を研究する大学院生)に会って自らに目覚める。「人間の中身も、層構造のようなものだ。地球と同じように・・・・・・奥深くにどんなものを抱えているか」「深く知れば知るほど、その人間の別の層が見えてくるのは、当たり前のこと」「地球の中心に積もる、鉄の雪――。僕も、耳を澄ませよう・・・・・・その人の奥深いところで、何か静かに降り積もる音が、聴き取れるぐらいに」――。重層的で芯が通った素晴らしい作品。

「海へ還る日」――離婚して1人で幼な子・果穂を育てている女性・野村。ふとしたことで出会った宮下という女性に上野の「海の哺乳類展」クジラを紹介される。「クジラたちは我々人間よりもずっと長く、深く、考えごとをしている」「わたしの意識は、海へと潜っていった。暗く、冷たく、静かな深い海に」・・・・・・。「アルノーと檸檬」――報道用伝書バトとして訓練されたアルノー19号はなぜ303号室に迷い込んで居ついたか。「玻璃を拾う」――珪藻を並べてデザインや絵にする「珪藻アート」。「人間には絶対に生み出せない玻璃の芸術品を僕はただ拾い集めているだけ」という野中。瞳子と奈津は、その微妙な世界を知る。「十万年の西風」――原発の下請け会社を辞めて、一人旅をしていた辰朗は、茨城の海岸で凧揚げをする初老の男に出会う。「ここに来たときは、必ず凧を揚げるんです。父に見せてやりたくてね」というが、父親は第二次世界大戦時、その地で「気球」による「風船爆弾」をつくり、打ち揚げに失敗して爆死したという。


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18日、第204回通常国会が始まりました。会期は150日間、6月16日までとなります。まずは、2020年度第3次補正予算案、2021年度予算案と、税制改正関連法案の早期成立に全力を上げます。

15ヵ月予算の主な内容.jpg補正・来年度予算案は、何といっても新型コロナ対策――。主な内容は、「新型コロナ対策」として、医療への緊急包括支援交付金の増額、ワクチンの無料接種の体制整備、雇用調整助成金の特例措置の延長など。「防災・減災・復興」として、流域治水や老朽化対策を進める5か年加速化対策。「子育て・教育」として、不妊治療費用の助成拡充と来年4月からの保険適用、公立小学校を1学級当たり35人以下にすること。「中小企業支援」として、中小企業などの業態転換に対する補助金を創設。さらに長期的戦略として、「デジタル」「グリーン(脱炭素化)」へのダッシュ。デジタル庁の設置や、企業の革新的な技術開発を支援する基金を創設します。

補正・来年度予算案を早期に成立させ、速やかな執行ができるように頑張ります。党の両院議員総会で「気合を入れて頑張りましょう」と呼び掛けました。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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